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2017 年度 実施状況報告書

トポロジカル絶縁体を用いた新規熱電素子の創成

研究課題

研究課題/領域番号 16K14231
研究機関京都大学

研究代表者

安藤 裕一郎  京都大学, 工学研究科, 特定准教授 (50618361)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードトポロジカル絶縁体 / 熱電素子 / スピン流
研究実績の概要

トポロジカル絶縁体における熱-スピン流,熱ー電流変換効率の解明を目指し,研究を行っている.本年度は微小領域に局所的な発熱・吸熱を印加するための機構を確立した.当初,銅とニッケルの合金であるコンスタンタンと銅を組み合わせた熱電対を作製し,発熱,吸熱機構を形成する予定であった.電子線蒸着措置を用いて銅の薄膜を成膜した後,コンスタンタンを成膜し,微小熱電対を作製した.しかし,電子線蒸着で作製した薄膜では均質なコンスタンタン膜が形成できず,一部ニッケルの微結晶が存在していることが,マイクロ波吸収を用いた発熱実験から明らかとなった.これはニッケルと銅の蒸気圧の違いに起因するものであると考えられる.そこでコンスタンタンの成膜をスパッタ膜に変えて実験を行った.この場合にも同様に一部ニッケルの微結晶が存在していることが判明した.そこで強磁性体元素を含まない熱電対を作製することを目的として,銅アンチモン熱電対を作製してその動作性能を調査した.当該熱電素子も十分な熱電性能を示すことが明らかとなった.トポロジカル絶縁体の場合,強磁性原子は時間反転対称性を破る可能性があり,正確な物性が評価できない可能性があったが,本研究で作製した熱電対ではその心配がなく,より正確な評価が可能であると期待できる.また同様にスピン流を検出する為の強磁性体電極もトポロジカル絶縁体との直接接合は避けた方が良いという考えから,間に銅の薄膜の挿入を検討した.この場合にもスピン信号は十分に検出できることが判明し最大で1マイクロメートル程度トポロジカル絶縁体と鉄の距離を取っても十分に測定可能であることが判明した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究当初より,必要な要素技術は増えているが,それらの技術を着実に確立してきている.トポロジカル絶縁体における熱-スピン流,熱ー電流変換効率の解明を達成することは十分に可能であると考えられる.また熱-スピン流の測定技術も新たな物理現象の解明等が進み十分な技術確立が進んでいる.これらを鑑みると研究はおおむね順調に進展していると評価できる.

今後の研究の推進方策

来年度はこれまでに確立した要素技術を集結し,トポロジカル絶縁体における熱-スピン流,熱ー電流変換効率の解明を目指す.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Investigation of spin scattering mechanism in silicon channels of Fe/MgO/Si lateral spin valves2017

    • 著者名/発表者名
      Lee Soobeom、Yamashita Naoto、Ando Yuichiro、Miwa Shinji、Suzuki Yoshishige、Koike Hayato、Shiraishi Masashi
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 110 ページ: 192401~192401

    • DOI

      10.1063/1.4982966

    • 査読あり
  • [学会発表] Spin to charge conversion in graphene and carbon nanotube mats2017

    • 著者名/発表者名
      安藤裕一郎
    • 学会等名
      SPIE
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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