研究課題
本研究の第1の目的は、照射波長を選択して、極超短パルス光である自由電子レーザー(FEL)を共鳴吸収させ、単層カーボンナノチューブ(SWNTs)の直径と共鳴波長で決定されるカイラリティをCVD成長中に制御し、エネルギーギャップEgが均一な半導体SWNTsを様々に作り分ける手法を確立することである。この目的に関して、波長800 nmのFEL照射により、SiO2/Si基板上でSWNTsのカイラリティ制御を試みた。成長したSWNTsのラマン分光結果において、RBMモードはラマン励起波長785 nmにおいてのみ確認でき、この結果より、照射FELのエネルギーに相当するバンドギャップを有するSWNTsのみ成長させる手法の開発に成功したことが確認された。また、この試料のシート抵抗温度変化測定の結果、半導体的伝導特性が観測された。第2の目的として、FEL照射のオン・オフによって、SWNTs成長中に任意のタイミングでカイラリティを変化させ、ナノスケールでの金属/半導体接合を作製することを目指した。これを実現する前段階として、成長方向のそろったSWNTsの作製条件を明らかにすることを試みた。r面単結晶サファイヤ基板を用いて、ホットウォール型CVD法により高品質面内配向SWNTsの成長条件を探索した。炭素源としてアセチレン、蒸着Fe微粒子を触媒とし、雰囲気圧力1 kPaで基板を850°Cまで昇温した時、ステップ-テラス溝に沿ってSWNTsを配向成長させることに成功した。併せて、SWNTs成長中に、FEL照射をオフからオンに切り替えて、金属/半導体SWNTs構造を一部実現した。しかし、1本のSWNT内での成長モード変化を直接確認することは出来なかった。そのため、最終的な目標とした、ナノスケールの接合に挟まれた構造を形成し、非線形伝導応答性や量子効果に基づく新規デバイスを作製するには至らなかった。
すべて 2018 2017
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Trans. Mater. Res. Soc. Jpn.
巻: 42 ページ: 1-3
巻: 42 ページ: 5-7