研究課題/領域番号 |
16K14239
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 孝一 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授(任期付) (30125322)
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研究分担者 |
加藤 祐次 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (50261582)
工藤 信樹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30271638)
北間 正崇 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (50285516)
犬島 浩 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (60367167)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 位相共役波 / 位相共役光 / 時間反転 / 光散乱 / 光伝搬 / ホログラム / 空間光変調器 / 輸送方程式 |
研究実績の概要 |
本研究は、位相共役波による時間反転という新原理を散乱分光の分野に新たに導入することにより、これまで実現が困難であった拡散性散乱体内部局所領域の選択的分光の実現およびイメージングの可能性追求を目的とする。初年度の研究実績は次のとおりである。
1.理論解析:理論解析により、着想を具現化するための基本的計測方法、計測条件、計測範囲などを明確化した。具体的には、(1) 輸送方程式からスタートし、散乱体内部光伝搬の式から、散乱体内部伝搬領域の時間変化を定式化した。(2) 理論モデルをもとに、必要とされる入射光量、最適な変調周波数、検出感度、計測系のSN比、計測可能深さ等の解析を行った。 2.シミュレーション:理論解析の結果をもとにシミュレーションを行い、 計測対象および所要計測範囲に対する最適化を試みた。具体的には、輸送方程式を基本とした理論モデルをもとに、生体内部局所領域分光を模擬するシミュレーションプログラムを開発した。 3.実験:デジタル位相共役光を発生する実験システムを、新たに開発した。このシステムは、散乱体からの出射光の位相の空間分布をホログラムとして計測記録するCMOSカメラと、PCで計算した位相共役光の空間分布を発生させる空間位相変調器(SLM)を中心に構成されている。開発した実験システムを用いた初期実験で、位相共役光の発生を確認した。 4.これらの研究成果を、国内の主要学会(招待講演を含む)で報告した。また、2017年4月および8月の国際会議での発表が、採択されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、初年度は理論解析とシミュレーションが中心で、その結果を受けて2年度で実験を行う予定であった。しかし、すでに初年度に実験に着手することができ、柔軟性の高いデジタル法で位相共役光の発生まで達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初掲げた目標を達成できるよう、今後さらに理論解析とシミュレーションをくりかえして、提案手法を改良しつつ最適化に向けて解析を進める。またその結果に基づき、実験装置の改良を繰り返し、散乱体における光散乱を効果的に抑制した透視イメージングおよび分光の実現を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、研究の基礎的部分の進展により、当初予定していた機器や資材のうち、高価なレーザーや高性能撮像装置を用いることなく研究を遂行することができた。初年度の成果から、光源や光検出器に対する要求性能が明らかとなったので、次年度にこれ等の性能を満たす機器や資材を購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度の基礎的検討の成果に基づき、得られた要求性能を満たす機器や資材を購入し、研究を推進する。具体的には、初年度の検討で、位相共役光の位相情報だけではなく強度情報の有効性が明らかとなった。この結果を受け、空間光変調器を2台に増やして、散乱体透過光の強度ならびに位相の空間分布を制御できるディジタル位相共役光発生システムを開発する。次年度には、初年度の未使用額を加えた全予算を、年度末までにすべて使用し切る予定である。
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