内視鏡下での温度画像観察を可能にする細径な赤外光イメージ伝送路を実現することを目的として,複数の空孔がハニカム状に配列されているバンドル型チューブリーキー導波路の開発を行った.チューブリーキー導波路とは誘電体薄膜のみで構成されたものであり,本研究では,導波路をバンドル状とした場合の導波路間の結合を考慮した理論検討モデルを構築するともに,ガラス線引法による導波路作製を試み,熱画像伝送が可能な細径伝送路の実現について検討した. 本年度ではおもに,バンドル型導波路の導波路間クロストーク抑制の検討を行った.バンドル化した導波路では,通常の導波路間結合のほかに漏れモードによる導波路間クロストークが生じ,それが画像の解像度を低下させる.そこでビーム伝搬法によるシミュレーションや結合についての解析的な手法を用いて,評価を行うとともに,結合を抑制するための構造について検討した.導波路の伝搬定数に差異がある場合には,導波路間の結合係数は低く抑えられるため,素子の直径に故意にゆらぎをもたせた構造について,理論的および実験的検討をおこなった.形状ゆらぎの分布方法としては系方向に直径が変化するタイプや,周方向に分布するタイプなどについて計算を行うとともに試作を通して最適な形状を探索した. 次に実際に製作したバンドル型チューブリーキー導波路による熱画像伝送実験を行った. さまざまな条件で作製したバンドル型導波路のクロストークの評価を行った.また放射する赤外光パワーが微弱となる体温程度の物体の観察を試み,位置分解能,温度分解能,最低検出温度などについて,実験によりこれらの評価を行った.また,導波路先端に微少なレンズを取り付けることにより,視野を拡大する方法についても実験的に検討を行った.
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