研究課題/領域番号 |
16K14242
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
品田 賢宏 東北大学, 国際集積エレクトロニクス研究開発センター, 教授 (30329099)
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研究分担者 |
大矢 剛嗣 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30432066)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 決定論的ドーピング / 単ドーパント回路 / 確率的情報処理システム |
研究実績の概要 |
本研究では、決定論的ドーピング法の注入可能な元素の多様化を図り、制御された単一ドーパントが動作を支配する単ドーパント回路を開発すると共に、脳におけるパルス伝導・積和・しきいち演算を量子効果により抽象化・具現化して極低電力・並列機能演算を行う脳型量子回路の実現を目的として、原子レベルでのプロセス、デバイス開発から回路・システムまで、階層に跨がるチームにより、革新的情報処理システムの基盤構築を目指している。平成28年度は、以下の研究項目に取り組んだ。 (1)決定論的ドーピング法による単ドーパント量子ドット形成プロセスの開発 新たな液体金属イオン源を開発して、注入可能なイオン種の拡充を図った。具体的には、P、B等に加えて、Ge、Erイオン注入が可能になった。更に、量子ドットネットワーク回路をシリコン表面状に自在に形成するためのプロセスを設計し、ドーパントの2次元配列、および任意のイオン注入パターン形成を可能にした。 (2)量子ドットネットワーク単ドーパント回路の設計と構築 当初計画通り、実デバイスとして作製した素子から回路パラメータをある程度抽出し、プロトタイプシミュレータに導入した。一段階目として、実デバイスのパラメータに基づく簡単な回路を設計し、そのシミュレーションを実施、動作の確認に成功した。この設計回路は、実デバイスへの実装を想定したもの(実デバイスとしてのレイアウト案も構築する)とした。これにより、より現実に近いシミュレーションが可能になった。本研究成果は国際会議論文を投稿済み(採否待ち)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
量子ドットネットワーク単ドーパント回路を初めて設計し、シミュレーションによる検証では、正常動作を確認したことに加えて、性能向上の証拠を掴むことができ、当初の計画以上に進展していると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)決定論的ドーピング法による単ドーパント量子ドット配線形成プロセスの開発 決定論的ドーピング法を用いて、シリコン表面上に、n型ドーパント、p型ドーパントの任意配列を試み、単ドーパント量子ドットとトンネル接合からなる2次元量子ドットネットワークを形成する。また、量子ドット間隔を狭め、クーロンポテンシャルのオーバーラップに基づく低抵抗化を実現し、配線、コンタクトの形成も試みる方針である。 (2)量子ドーパント・競合ニューラルネットワークの設計と構築 競合ニューラルネットワーク回路について、単ドーパント回路化する。具体的には、平成28年度で得られた知見を基に、第1段階として「単ドーパントニューロン回路」を、第2段階として付随要素(シナプスや神経軸索回路)を、第3段階として単ドーパントニューラルネットーワークの構築を行う方針である。
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