研究課題/領域番号 |
16K14247
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
若林 整 東京工業大学, 工学院, 教授 (80700153)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 2次元層状半導体膜 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / 二硫化モリブデン / スパッタ法 / 核形成 / 2次元成長 / 3次元成長 |
研究実績の概要 |
原子層状半導体である遷移金属ダイカルコゲナイド(Transition-Metal Di-Chalcogenide: TMDC) を用いた二次元チャネル電界効果型トランジスタ(2D-MISFET) について、三次元縦型トランジスタへの展開を探索している。初年度として、スパッタ法による二硫化モリブデン(Molybdenum di-sulfide: MoS2)膜の成膜において核形成と二次元及び三次元の成長モードを制御するため、超高真空(Ultra-High Vacuum: UHV) RF (Radio Frequency)マグネトロンスパッタ法における成膜基礎特性を詳細に調べた。結晶性の向上には、基板高温化(室温から400℃へ)や高RFパワー化(20から50Wへ)、ロングスロー化(150から200 mmへ)が効果的であり、原料の平均入射エネルギーの増大や基板表面でのマイグレーションを促進することが有効であることを示した。また高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(High-Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy: HAADF-STEM)による断面観察よりMoS2膜特有の三角プリズム構造を観察することができ、その回折像からMoS2膜の結晶性向上を確認し、結晶性が向上していることを確認した。また最終層構造から成長機構を解明できる可能性があることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の絶縁膜側壁上MoS2成膜・評価技術の確立の準備として、高温スパッタ法により自己組織的にMoS2膜を形成する手法の探索を行った。また、第一原理計算を用いてコンタクト抵抗を低減できるドーピング手法も探索を行った。特にMoS2成膜について国際学会でポスター発表済みで、さらにドーピング手法について国際学会での口頭発表を予定しており、さらにそれらについて査読付き論文として投稿予定であることから、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、Sub-monolayer領域でのMoS2膜成長より、核形成と二次元および三次元の成長機構を解明し、三次元構造上への形成を試みる。さらに、絶縁膜側壁上MoS2 2D-FET動作実証に向けて、ファンデルワールスを加味した第一原理計算に従って、シリコンで実績があるSi3N4やHfO2等の高誘電率絶縁膜を適用し、側壁上での界面準位低減の実証に挑戦する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は三次元構造にMoS2膜を形成することを計画しており、その下地構造を外注で作成する予定であり、その費用が掛かるため。
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次年度使用額の使用計画 |
シリコン基板上に、酸化シリコン膜、続いて窒化シリコン膜を形成し、露光・ドライエッチングにより、窒化シリコン膜を四角いドットのアレイ構造に形成するため、半導体ファウンダリサービス会社へ委託することを計画している。
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