• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

機能性酸化物の触媒効果を利用した炭化シリコンの低温酸化

研究課題

研究課題/領域番号 16K14258
研究機関九州大学

研究代表者

浅野 種正  九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (50126306)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード炭化シリコン / SiC / 熱酸化 / 触媒酸化 / ゲート酸化 / 酸化物触媒
研究実績の概要

代表者らは,ペロブスカイト型結晶構造をもつチタン酸ストロンチウム(STO)の一部をマグネシウムで置換して酸素空孔を生成した材料(STMO)を酸素中で加熱すると,活性酸素が材料から放出され,シリコンや炭化シリコンの酸化を促進できることを見出した.本研究はその酸化機構を解明するとともに,炭化シリコンの低温酸化技術としての工業的発展性を調査することを目的に実施した.チタンのマグネシウム置換量を変えた材料を混合,焼結によって作製して調査した結果,約50%までの置換が可能であり,置換量とともに活性酸素(酸素原子)の放出量が増加すること,また,それにともなってシリコンの酸化増速効果が増大することがわかった.800℃から900℃でのシリコンの酸化に対し,反応律速過程における活性化エネルギーを1.76eVから1.00eVに,拡散律速過程における活性化エネルギーを2.22eVから1.90eVまで低減できることを明らかにした.
炭化シリコン(4H型SiC)についても効果があり,酸化が進行しにくいSi原子面の800℃から900℃での反応律速過程における活性化エネルギーを2.1eVから1.5eVに低減できることがわかった.これは,上記温度近傍において酸化速度を100倍以上に増速できることを意味しており,これまでに報告例の無い低温度領域での酸化が可能であることを示した.電気特性は,通常の酸化方法で1300℃で酸化した場合と同様の特性を示すことがわかった.
工業応用への展開目指した実験を行った結果,酸化の増速効果は1000℃まで昇温すると弱まることがわかった.これはSTMO材料がSTOとMgOに分離し,活性酸素の生成能力が低下するためであると推定した.また,発生した活性酸素の大気圧下における拡散長は数十mmであり,これらを考慮した装置設計が必要である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Evaluation of effective length of the enhanced oxidation of active oxygen produced using SrTi_{x} Mg_{1-x}O_{3-δ} catalyst for low-temperature oxidation2018

    • 著者名/発表者名
      Sun Hsiang Fang、Ikeda Akihiro、Asano Tanemasa
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 57 ページ: 04FB09~04FB09

    • DOI

      https://doi.org/10.7567/JJAP.57.04FB09

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhanced Low-Temperature Oxidation of 4H-SiC Using SrTi_{1-x}Mg_{x}O_{3-δ}2017

    • 著者名/発表者名
      Li Li、Ikeda Akihiro、Asano Tanemasa
    • 雑誌名

      Materials Science Forum

      巻: 897 ページ: 356~359

    • DOI

      https://doi.org/10.4028/www.scientific.net/MSF.897.356

    • 査読あり
  • [学会発表] Oxidation Enhancement Characteristics of SrTi_{x}Mg_{1-x}O_{3-δ} Catalyst for Low Tem-perature Gate Oxide Formation2017

    • 著者名/発表者名
      H.-F. Sun
    • 学会等名
      Int'l. Conf. Solid State Devices and Materials
    • 国際学会
  • [備考] 九州大学研究者情報

    • URL

      http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/index.html

  • [備考] 九州大学浅野研究室

    • URL

      http://fed.ed.kyushu-u.ac.jp/index.html

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi