研究実績の概要 |
従来型電波吸収体は一般に設計厚みが大きくなり、その応用用途が限定される傾向にあった[参考:Knott, Radar Cross Section Measurements, 2006]。しかしながら、メタサーフェス電波吸収体の登場により、極めて薄型で強い吸収特性を持つ電波吸収体を実現できるようになった[参考:Landy et al., Phys. Rev. Lett., 100, 207402, 2008]。ただし、吸収体の動作周波数帯域と設計厚みはトレードオフの関係にあり、例えば設計厚みが固定された場合、実現可能な動作周波数帯域には理論限界が存在した。そこで本研究ではメタサーフェス電波吸収体にノンフォスター回路を統合することで理論限界を超える超広帯域電波吸収体を開発することを目指す。 今年度は当初計画では最終年度となり、ノンフォスター回路に関する実験的評価を実施予定であった。しかしながら、測定に使用する機器の長期に渡る故障により、着手できない状況にあった。このため、研究期間を延長し、今年度は数値解析シミュレーションに基づく評価を進めた。特にこれまで負のキャパシタンスを実現するための評価が中心となっていたものの、負のインダクタンスも帯域の拡張に大きく寄与することから、その設計について取り組んだ。ただし、この場合、従来の回路構造では動作の安定性を保証することができず、新たな回路構成の構築を必要とすることが分かった。 。
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