研究課題
環境モニタリングに応用される無線センサネットワークでは,広い領域に撒布されたセンサノードがメッシュ型マルチホップ通信で互いに接続される.従って,データ収集ノードは,各ノードがセンスして得た環境データを定期的に収集するだけでなく,例えば,ループを形成するルートを選択してプローブパケットを送信し,それを受信するまでのルート遅延を観測することにより,そのルート上でのリンクの障害の有無を推定できる.反射型ネットワークトモグラフィは,そのような観測ルートをうまく複数選択し,ネットワーク内でのすべての障害リンクを同定することを指す.圧縮センシングの理論をさらに応用すれば,観測ルート数を小さくできるが,その場合の問題点は,ノード数が大きくなるとルート候補数が膨大となり,それらの中から適当な観測ルートを選択する問題が困難となることである.本研究に関する平成28年度の主な研究成果は,透過型ネットワークトモグラフィに対して,観測ルート選択法を提案し,その性能を計算機シミュレーションにより明らかにしたことであった.本研究に関する平成29年度の一つの研究成果は,透過型ネットワークトモグラフィに対する総候補ルート列挙法を反射型ネットワークトモグラフィに拡張したことである.仮想ノードを用いる方法を提案し,それにより,計算量を増やすことなく総候補ルートが列挙できるようになった.そして,もう一つの研究成果は,列挙された総候補ルートの中から観測ルートを選択する方法を新たに提案したことである.これにより,従来法よりも,少ない観測ルートと少ないセンサノードで障害リンクが同定できるようになった.さらに,過去に観測したルート遅延に従って次の観測ルートを選択する適応観測ルート選択法を提案し,これによりさらに短期間で障害リンクが同定できるようになったので,障害リンクの時間的な移動に対処できるようになった.
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Proceedings of the 23rd Asia-Pacific Conference on Communications (APCC), 2017
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