本年度は決定論的群知能最適化手法の開発および実装を目的として、主に以下の2つについて、研究を進めた。(1)発散と収束の2つの探索モードを有する最適化手法。(2)簡素な非線形写像に基づく最適化手法。 (1)の手法については、これまでに様々なベンチマーク問題を対象とする数値実験を行い、その有効性を示している。本年度は、この手法が有効に働く理由を明らかにすべく、理論解析を試みた。ある問題空間に対して移動、拡大、縮小、回転などの変換を施した問題について、本手法は探索を繰り返すことにより性能が不変となることを理論的、実験的に示した。これにより、本手法は様々な問題に対して、汎用的に適用できることを明らかにした。これら成果は論文誌に投稿しており、現在は査読中である。 (2)の手法についても、基本的な探索性能と有効性をこれまでの研究により明らかにしている。本手法は大域的な探索と局所的な探索を非線形写像に基づく動作によって実現するものである。本年度は従来と同等な探索を実現可能な非線形写像の簡素化を試みた。様々なベンチマーク問題に適用した数値実験を行い、本手法の有効性を示した。これらの成果は2019年6月に開催予定の国際会議IEEE CEC2019で発表予定である。 本研究では手法の実装も目的としており、基本的な群知能最適化手法の実装は既に行っている。これまでの研究により、その足掛かりとなる成果を得ることができており、上記手法の実装も困難ではないと考えている。
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