研究課題/領域番号 |
16K14275
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤羽 英夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (00552077)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 電子スピン共鳴 / デジタルEPR分光装置 / 自動同調・整合制御 / ESR |
研究実績の概要 |
生体用電子スピン共鳴(EPR)分光器の高感度化、低コスト化を目指したデジタルEPR分光器を開発することを目的として、平成28年度は、RF信号を周波数変換することなくデジタル化できる受信基板と、検出したRF信号からEPR信号と共振器の整合を自動調整する制御信号を生成する信号処理基板の開発を行った。 受信基板は、500MSPS&12bitsの性能を持つ高速ADCと、Altera社製FPGA ICであるCyclone Vからなり、FPGA上に構築したデジタルダウンコンバータを用いて、RF信号から位相と強度の情報を持つIQベースバンド信号の生成を可能とした。その際、ADC用のクロック信号は、励起用のRF信号と伴に、電圧制御発振器を分周器を用いて分周することにより生成され、その周波数は、励起用RF周波数の4/奇数 倍としている。 信号処理基板は、2MSPS&16bitsの性能を持つ低速DAC IC (8個)と、FPGA IC、USB IO用IC から主に構成した。受信基板で生成したIQベースバンド信号を信号処理基板に転送し、磁場変調により変調されているIQベースバンド信号に信号処理を加えることで、EPR信号を取り出すことに成功した。また、従来は共振器の自動同調・整合制御に変調法を用いていたが、本研究により、共振器からの反射波を直接用いることにより、無変調で制御する方法を新たに開発した。その結果、マウス頭部に分布させたフリーラジカルによる電子スピン共鳴信号の取得に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通りに、受信基板や、信号処理・制御信号生成基板の製作とその評価が終わっているため。
|
今後の研究の推進方策 |
受信システムの低ノイズ化のため、RF信号をデジタル化している受信基板を構成する電子部品を再検討し、付加位相ノイズが少なくなる工夫を検討する。
|