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2016 年度 実施状況報告書

圧電センサを用いた非侵襲脳動脈硬さ評価技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K14280
研究機関同志社大学

研究代表者

松川 真美  同志社大学, 理工学部, 教授 (60288602)

研究分担者 長束 一行  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (70189140)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード頚動脈波 / 圧電センサ
研究実績の概要

本研究では低コストな圧電センサ計測システムを用いて頚動脈の皮膚変位(脈波)を計測し、その解析により脈波中に含まれる脳動脈血管の情報を抽出することを目的とする。研究内容は、以下の二つの側面をもつ。まず、血管内脈波の伝搬挙動の基礎的研究として、模擬血管による脳動脈モデルを作成し、脳内血管の狭窄などの疾病が脈波に及ぼす影響を実験的に検討する。また、圧電センサ計測システムを用いて、健常者や疾病患者の頚動脈脈波を計測し、両者の波形比較、波形の特徴量抽出を目指す。
初年度の28年度は、100-200kPa程度(硬めの血管に相当)の弾性率をもつポリマーチューブを作成し、対称な形状の狭窄を含む頚動脈の模擬血管の作成に成功した。また、水を満たしたこのチューブ内に、血流を模擬してパルス状の圧力波を伝搬させた。比較的軽度の狭窄であっても、狭窄で圧力波が一部反射して観測されることを確認した。狭窄の形状による反射波形の変化も確認した。
また、臨床研究では、圧電センサシステムを用いて被験者の頚動脈波を、超音波ドップラを用いて頚動脈内の血流波形を計測した。まず、中高年の健常者45例の頚動脈波波形と血流速度波形を検討し、年齢に応じて脳内からの反射と考えられる反射波の振幅が増大することを確認した。また、同システムを用いて、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞などの疾病患者の頚動脈波、血流速度波形を測定し、健常者の結果との比較検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

頚動脈を模擬した血管の作成でき、模擬血管内の圧力波伝搬現象を実験的に確認できた。また、比較的軽度な狭窄でも圧力波の反射を観測したことから、脳動脈内での狭窄が頚動脈で観測される可能性を見出した。
また、アテローム血栓性梗塞やラクナ梗塞の被験者の観測を進めた。現在は得られた脈波波形や血流速度波形を健常者の結果と比較検討し、特徴量抽出の段階に進んでいる。

今後の研究の推進方策

今後は、当初の予定に従い、健常者・患者の臨床計測を進めるとともに、健常者波形の特徴量抽出法を検討する。また、ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞などを模擬した模擬脳動脈血管の作成に挑戦し、このような疾病による血管内圧力波の変化を物理的に検討する。血管内圧力波の変化は皮膚表面で観測される脈波に反映される。将来的に、ポータブルな計測を可能とするために、臨床用圧電センサ計測システムの小型化を検討する。

次年度使用額が生じた理由

購入予定の装置の一部を借用できたため、28年度は物品費の使用額が予定より下回った。

次年度使用額の使用計画

物品費については、29年度に研究をより進捗させるため、臨床用ポータブル型圧電センサ計測システムの開発費、血管模擬チューブ作成費として使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University Paris 6(France)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      University Paris 6
  • [学会発表] 模擬血管チューブ内の圧力波伝搬に関する実験的検討 ~ 狭窄形状の影響 ~2017

    • 著者名/発表者名
      岩瀬史明、島田慎也、津留崎 凌、松川真美
    • 学会等名
      電子情報通信学会 超音波研究会
    • 発表場所
      東京大学 本郷キャンパス(東京都・文京区)
    • 年月日
      2017-06-27 – 2017-06-27
  • [学会発表] 血管模擬粘弾性チューブ内の圧力波伝搬の解析及び理論モデルの検討2017

    • 著者名/発表者名
      小野慎平、松川真美, ラグレーピエール-イブ
    • 学会等名
      第64回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2017-03-14 – 2017-03-17
  • [学会発表] 圧電センサを用いた頸動脈波の簡易測定2016

    • 著者名/発表者名
      津留崎 凌、小田原拓也、松川真美
    • 学会等名
      第19回日本音響学会関西支部若手研究者交流研究発表会
    • 発表場所
      関西大学(大阪府・吹田市)
    • 年月日
      2016-12-18 – 2016-12-18
  • [学会発表] Experimental study on the pressure wave propagation in tubes mimicking stenosed vessels2016

    • 著者名/発表者名
      Simpei Ono, Mami Matsukawa, Pierre- Yves Lagree
    • 学会等名
      37th symposium on ultrasonic electronics
    • 発表場所
      Pukyong National University, Busan (Korea)
    • 年月日
      2016-11-16 – 2016-11-17
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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