研究課題/領域番号 |
16K14281
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研究機関 | 一般財団法人ファジィシステム研究所 |
研究代表者 |
江口 正徳 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 主任研究員 (60613594)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナノテクノロジー / 誘電泳動 / 広帯域インピーダンス計測 |
研究実績の概要 |
本研究は,生体分子の電気的特性を低周波帯からマイクロ波帯まで広帯域計測可能なデバイスの開発を目指している. 平成28年度では,広帯域でのインピーダンス計測を可能とするボウタイ型のナノギャップ電極作製のための条件出しなどを行った.ボウタイ型のナノギャップ電極は,シリコン及びガラス基板上に電子戦リソグラフィにより作製し,条件出しにより電極ギャップ幅が数十ナノメートルレベルの対向電極を試作することができた.また,試作したナノギャップ電極を用いて生体分子のインピーダンスを測定するためには,電極間に生体分子を架橋する必要がある.そこで,溶液中に分散したナノ粒子及びグラフェンナノリボン等を用いた電極架橋の予備実験を行い,試作したナノギャップ電極を評価した.生体分子の広帯域インピーダンス計測は,溶液中での測定を想定しているので,誘電泳動による電極架橋法について検討を行い,印加電圧および周波数,ナノ粒子分散液の濃度に関して,条件出しを行った.誘電泳動による架橋後,溶液を自然乾燥しナノ粒子の架橋の様子を電子顕微鏡により観察し,その有効性を確認した. また,生体細胞1個のインピーダンスを広帯域で測定可能なマイクロストリップ上平行電極を設計・解析を行った.解析の結果,平行電極の電極面積が小さいため,そのキャパシタンスはfFオーダーとなり,その特性から細胞種の同定は困難であることが予想される.そこで,平行電極に並列にインダクタンスを配置し,その共振周波数により高感度検出・同定可能なデバイスを設計し,電磁界解析による検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デバイスの設計・試作および誘電泳動による電極架橋実験を遂行し,生体分子への移行の目処が立っており,当初の計画通り実施できている.
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今後の研究の推進方策 |
試作したナノギャップ電極を用いてナノ粒子を架橋後,溶液中および乾燥した状態での電気特性を広帯域計測し,溶液の影響に関して検討を行い,広帯域計測可能な溶液の選定およびマイクロ流路等を含めたデバイスの設計を行う.設計したデバイスを用いて生体分子の架橋・広帯域計測を行い,その特性から等価回路モデルを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては,ナノ粒子および生体分子の広帯域インピーダンス計測を連携研究者所有の測定器を使用して遂行するため,それに伴う旅費等の経費を次年度以降に配分する必要があった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,デバイス作製に必要な消耗品の購入費,成果発表のための旅費,広帯域インピーダンス計測および研究打合せのための旅費等に使用する予定である.
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