研究課題/領域番号 |
16K14283
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東 俊一 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40420400)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 制御工学 / マルチエージェントシステム / グラフ信号処理 |
研究実績の概要 |
制御工学においては,2000年以降,マルチエージェントシステムのフォーメーション形成の研究が世界的なブームとなっている.その一方で,目標とするフォーメーションとして考えられてきたのは,円形やV字など単純な幾何学パターンに限られていた.一方,本研究では,マルチエージェントシステムのフォーメーション形成によって,任意の動画像を表現する「マルチエージェントディスプレイ」を世界に先駆けて提案することを目指している.
このマルチエージェントディスプレイを実現するためには,ネットワーク化されたエージェント上で2値化する手法が必要となる.本年度は,そのための基盤として,グラフ信号のΔΣ変換の理論的枠組みを構築を目指した.まず,ネットワーク化されたエージェント群をグラフ信号(グラフの各頂点に値を持つ信号)と捉え,その上で,低域通過特性に対して等価となるよう2値化する問題を定式化した.そして,与えられたネットワーク構造上で「内向木」と呼ばれる部分グラフを抽出し,その上で誤差拡散する解法を提案した.さらに,その解法がハーフトーン画像処理に有効であることを確認した.本枠組みは,マルチエージェントディスプレイのためだけでなく,グラフ信号処理の基礎的成果となることも期待される.
以上の成果は,研究協力者(学生)が,2017年度システム制御情報学会 奨励賞を受賞するなど,高く評価されている.また,制御工学の分野の主要国際会議であるIFAC2017世界大会に採択されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マルチエージェントディスプレイを実現するための基盤技術の第一歩を発見できたため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度と同様に,ネットワーク化されたエージェント群をグラフ信号と捉えて問題に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の成果の発表予定を次年度に繰り越したため
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越しとなっていた発表の経費に充てる
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