研究課題/領域番号 |
16K14285
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 透 広島大学, 工学研究院, 教授 (10200825)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感性フィードバック制御 / カスケード制御 / データ指向型制御 |
研究実績の概要 |
コンピュータ技術,ならびに制御技術が進展し,機器・装置等については,容易に所望の制御性能が得られるようになってきた。一方で,身の回りには人間と機器の関わりが必要となる場面が多く存在する。人間が精神的豊かさをもって機器・装置を操作するためには,装置や機器の制御に留まらず,人間のもつ感性をフィードバックする機構を備えた制御システムを構築する必要がある。 本研究では,人間と機器・装置を感性でつなぐことで,人間の精神的価値の向上を実現する『データ指向型感性フィードバック制御系』の設計法について考察を進めている。平成28年度では、感性フィードバック制御の基本構成となる「データ指向型カスケード制御系」の設計法について考察を進めた。具体的には,閉ル-プデータのみから、内側ループと外側ループの双方を設計する方法を新しく提案した。とくに,外側ループには,先に提案しいるデータベース駆動型制御器を適用しており,これにより,外側ループの制御対象が非線形性を有していても,良好な制御結果が得られることを数値例、ならびに液位制御系への適用を通して定量的に検証した。さらに,感性フィードバック制御系を前述のデータ指向型カスケード制御系として設計し,数値例によりその有効性を検証した。とくに,感性の個人差を外側ループにあるデータベース駆動型制御により十分に吸収できることを確認した。これらの研究成果は,国内の学会,国際会議で発表するとともに,特許申請を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで,感性フィードバック制御系をデータ指向型カスケード制御系として実現し,個人差に対しても十分に対応できることを,数値例によって確認している。これは,当初の予定(平成29年度実施予定)よりかなり早く進んでいると言える。しかしその一方で,平成28年度中に設計する予定であった感性に対する「ソフトセンサ」に関わる研究が,予定より少し遅れている。これについては,本学医学部の協力を得ながら,データ取りまで行えたので,平成29年の上半期に設計できる見通しとなっている。したがって,本研究全体で考えた場合,概ね順調に進めることができていると評価している。また,予期しない大きな問題もこれまでの研究において生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,平成28年度に構築した感性フィードバック制御を短下肢装具に適用し,使用者が不快に思わないような歩行支援を実現することを最終目的にしている。そのため,今後は,まず,平成28年度に購入した短下肢装具がコンピュータ制御できるよう改良する必要があり,これを平成29年度に実施する。さらに,平成30年度には改良した短下肢装具に感性フィードバック制御を実装するとともに,実験を通して有効性を検証する予定である。
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