研究課題/領域番号 |
16K14288
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (10259822)
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研究分担者 |
三宅 修平 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (00200139)
福田 耕治 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (40208955)
伊丹 伸 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 講師 (60212982)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 共創システム / 群集行動 / 魚群行動 / 人イベント行動 / 数理モデル / レベルセット / 自由境界 / 自他非分離 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,群集行動を理論的に解釈する共創場理論の立場から,生物と人間の群集行動を包含する統一的な視点から共創原理を用いて解析・再解釈することでシステム工学的な群集行動のモデルを構築し,その産業応用の可能性を探ることにある.生物行動パターンについては徳島県水産研究所による魚群行動実験から,人群集行動については千葉県で開催される大規模イベントの行動計測データを用いて,それらから抽出された論理データにレベルセット関数を援用した共創場理論を適用して群集行動の数理モデルを構築する.その数理モデルの有効性をコンピューターシミュレーションを通じて検証することが目標となる.この目的に沿った平成29年度の研究計画に対する実績を以下に示す. 1.人間の群集行動からの論理データ生成用画像処理プログラムを根本的に改善し,任意の視点からの撮像データから人群集行動中の個体識別率を75%に向上させ,群れ行動と意味論ベースで定義可能なクラウド挙動が抽出可能な各段に自由度の高い画像処理アルゴリズムが開発できた. 2.生物行動として魚群行動の実験について,生物行動のノイズとなる諸条件を極限までカットした水槽実験を実行し,魚群行動の時間フラクタル構造の一部を明らかにすることができ,数理モデル構築に必要不可欠である良質なデータを50資料以上取得することができた. 3.共創場原理に基づく群集行動モデルについて,レベルセット関数を重畳させることで行動目的の異なる群れ行動を記述できる数理モデルを開発することができ,そのスカラー密度分布のランドスケープから各群れを抽出する境界ゾーンの概念を着想することができた. 以上により,研究計画の【フェーズ2】共創場・群集行動モデルの構築:フェーズ1で得られた結果を数学的・システム工学的に吟味し,群集行動パターンのレベルセット関数による表現法を数学的に定式化,を部分的に達成できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・魚群行動については共創場原理の数理モデルでモデリングが可能な実データを取得でき,その時系列データの複雑系科学によるデータ構造も明らかにすることができた.しかしながら,レベルセット解析で用いる認知行動仮説を精密に検証するボイド法によるシミュレーションアルゴリズムの開発に時間が掛かっている.
・人群集行動のイベント実験では,800名程度の群集行動を鳥瞰動画データからレベルセット解析可能な論理データに変換する画像解析アルゴリズムの開発に手こずり,共創場原理に整合する認知行動仮説が十分に構築できていないので,レベルセットモデルに実装が遅れている.
以上の結果,実データを十分に分析・検討することで構築が可能となる「レベルセット関数を援用した共創場理論に群集行動モデル」を構築・検証するタイムスケジュールが圧迫されている.
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今後の研究の推進方策 |
先の項目で遅延していることを補い,本研究をさらに深いレベルで達成するために今後取り組む研究計画を以下に示す.
1.論理データの取得とイベント実験の改善:本年度行った人群集実験のフィールド実験データは意味論的に認知行動仮説を検証することが困難であったので,判明した困難性を極力排除できる抽象化されたイベント実験を準備・試行する. 2.生物行動実験のデータ処理と複雑系分析:昨年度取得できたマアジの魚群行動実験データの整理・解析を急ぎ,そのデータと比較可能な高精度ボイドアルゴリズムを開発する. 3.汎用レベルセット計算アルゴリズムの開発:本年度検討したポリゴン空間ベースの離散レベルセット計算アルゴリズムは,共創レベルセットモデルで用いる複数のスカラー関数が重畳する密度場を形成することが困難であることが判明したので,再度,ユークリッド空間ベースのレベルセット計算コードの開発を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由は、1.生物行動実験は現有の室内実験に終始しており,フィールド実験等の大がかりな群れ行動実験に移行することができなかったので予算が消化できなかった.2.大型イベントにおける人群集行動実験が実施できなかったので,予定していた謝金が消化できなかった.3.取得したデータの分析と計算モデルの検討に終始していたため,成果発表のために予定していた旅費が消化できなかった. 使用計画は、1.設備備品費は,撮像システムの改良をする必要があるため「300,000円」となる.消耗品は,電子部品や記録メディア,印刷トナーなどの購入があるので「60,000円」とする.2.旅費は,共同研究者4名による研究成果発表として「600,000円」とし,人件費・謝金はフィールド調査や実験データ整理として「150,000円」とする.3.その他は,研究の高度化と進展に伴う参考文献購入費や論文研究発表の投稿料として「100,000円」とする. 以上,合計は「1210,000円」となり,交付後の研究費使用計画を満足する.
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