研究課題/領域番号 |
16K14290
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高谷 哲 京都大学, 工学研究科, 助教 (40554209)
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研究分担者 |
上田 尚史 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20422785)
内田 慎哉 立命館大学, 理工学部, 任期制講師 (70543461)
川崎 佑磨 立命館大学, 理工学部, 准教授 (90633222)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 水分移動 / コンクリート / マイクロ波加熱 / 赤外線 |
研究実績の概要 |
近年,社会基盤構造物の老朽化が社会問題となっている.日本は四方を海に囲まれ,山冬季に凍結防止剤を散布する山間部も多いため,コンクリート構造物において鉄筋腐食は深刻な劣化形態のひとつである.コンクリート構造物の場合,常に抱水状態にあれば劣化因子は拡散により供給されるが,乾湿繰り返し環境にある場合には水分移動とともに劣化因子が侵入し,乾燥時に高濃度のイオンが内部に残るため,乾湿繰り返しにおける水分移動を評価することが腐食の評価をする上で重要であると考えられる.しかし,コンクリート表層部の水分移動を評価する手法がないのが現状である.そこで本研究課題では,本研究課題では,主にひび割れを通じる経路に着目し,マイクロ波により加熱された水を赤外線サーモグラフィで観察し,水の移動のしやすさを評価しようとするものである.今年度はひび割れ幅を0.05mm,1.0mm,1.5mmに調整した40×40×160mmのモルタル試験体を作製し,500Wで加熱時間を10~60秒と変化させて試験を行い,ひび割れ幅の違いによりひび割れ部と健全部の温度差に違いが出ることは分かってきている.また加熱時間は20秒程度で有意な差が笑われることが確認されている.ただし,ひび割れ近傍の細孔空隙の状況によってはひび割れ周辺の高温領域が広く現れ,分解能が低下することことも確認された.そのため,細孔径分布の測定などを行い,細孔の影響も大きいことが確認されている.今後は,水セメント比を変えた試験体を作製し,細孔の影響についてもより明らかにしていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ひび割れ幅の違いにより加熱後のひび割れ部と健全部の温度差に違いが出ることは確認されており,手法としては目的を達成できる可能性があることがあると考えている.ただし,当初想定していなかった細孔空隙への水の浸入の影響によりひび割れ部近傍の分解能が低下することが確認されたため,細孔空隙の影響を明確にする必要があると考えられる.そのため,追加で試験を行うことを考えている.
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今後の研究の推進方策 |
当初想定していなかった細孔空隙への水の浸入の影響によりひび割れ部近傍の分解能が低下することが確認されたため,水セメント比を変えるなど,細孔空隙を変えた試験体を作製し,細孔の影響を明確にすることを計画している.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では,コンクリート表層部の水分移動経路として,ひび割れに着目していたが,コンクリート の品質によっては,空隙構造の影響が大きく,空隙構造と水分移動特性の関連についても別途検討が必 要になったために,計画の見直しが必要となった. ひび割れからの水分移動と空隙を通じた水分移動を当該評価手法で区別できるようにすることを目標に ,1年間の期間延長申請を希望するに至った. 残額は新たな試験体の作製と細孔径分布の測定に使用する予定である.
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