研究課題/領域番号 |
16K14304
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高井 敦史 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (30598347)
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研究分担者 |
FLORES Giancarlo 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80598996)
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90324706)
勝見 武 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60233764)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 伝熱 / NAPL / 画像解析 |
研究実績の概要 |
平成28年度は鉛直一次元カラムを用い,多次元評価を実現させるための計測技術の確立と,一次元での流れの可視化を試みた。鉛直一次元カラムの作製に際しては,通常のアクリル板やガラス板では赤外線を透過せず,カラム表面の温度分布しか計測できないことから,前面に赤外線透過ガラスを設けた高さ500×幅50×奥行50 mmの鉛直カラムを作製し,市販の熱画像カメラによる伝熱評価を試みた。作製したカラムを用い,熱―水―空気三相流を評価すべく,カラム下部あるいは上部に熱源を固定し,40℃と70℃の熱源温度で地盤の加熱を行い,異なる飽和度と地盤内での熱と間隙水の動態を熱電対により評価した。その結果,飽和度が高くなるほど間隙水の上昇により熱伝導が促進されること,熱源温度に対する反応温度の比である相対温度上昇率は,熱源付近では70℃加熱時の方が値が高くなるものの,熱源から遠くなるほど40℃の方が高くこと,下部熱源では上部熱源と比べ熱が伝達されやすいこと,等を実験的に明らかにした。さらに一次元熱伝導方程式により,3時間加熱後の温度分布を精度良く表現しうることを明らかにした。次に,現有のNikon D7000を用い,繰返し水位変動条件下での水とパラフィンの空間的な連成挙動を視覚的に評価した。その結果,4回の水位変動サイクルのうち最初の1回のみ他の3サイクルとは挙動が異なること,NAPLの有無によって試験後の供試体の最終的な水分状態が顕著に異なること,等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伝熱評価システムを構築するとともに,当初計画のとおり異なる条件下での伝熱特性を評価した。また,画像解析により水位変動に伴う水―NAPL―空気の連成挙動を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
異なる条件下で水―NAPL―空気三相流を画像解析手法により評価し,難溶性流体の地下水面上部での残留(トラップ)を検証する。水相とNAPL相の排水量や揮発量を評価する場合には,油水分離フィルターを用いて個別に質量変化を把握する。土槽試験とその後の画像解析で得られる結果は,土槽背面に取り付けた各種センサーの指示値と比較を行い,整合性を検証する。得られた各試験結果を解析し,水相とNAPL相の運命予測を行う。具体的には,飽和度の経時変化,蒸揮発量の変化,地下水流向との関係等について画像解析結果と各センサーの指示値に基づき明らかにする。
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