放射性廃棄物処分において緩衝材として使用される予定のベントナイトは,膨潤性粘土鉱物であるモンモリロナイトを主材している。しかし,旧来の土質力学は,土粒子が非圧縮であり,かつ,間隙水も非圧縮であること前提として,土粒子の配列構造が変化することによってのみ体積が変化することができるために,ベントナイトの力学挙動を適正に記述することは難しいと言われている。本研究では,Na型ベントナイトのクニゲルV1に三河珪砂6号を乾燥質量比30%となるように混合した上で,高密度に圧縮成型した高密度ベントナイト供試体を作製し,それを高レベル放射性廃棄物処分の緩衝材に見立てて検討を行った。特に,緩衝材の力学特性を合理的に説明するため,種々の含水率と圧力条件でのベントナイトの力学挙動を把握し,膨潤性鉱物を多く含有する地盤材料の力学特性を適正に記述するために,従来の土質力学で用いられている「有効応力」の適用性についての検討も行った。 研究の最終年度の平成30年度は,各種含水条件でのベントナイト供試体を用いた三軸試験を継続して実施するとともに,過年度の実験結果も含めて高密度ベントナイトの力学特性についてのデータを用いて系統的にまとめることによる評価を行った。また,過年度から引き続いて,再冠水して飽和度が上昇している状態での高密度ベントナイト緩衝材のせん断挙動を合理的に説明するモデルを検討し,正規圧密条件に近い状態で緩衝材が大きく変形を伴いせん断される状態を模擬した境界値問題のシミュレーションを実施することにより,その適用性を示した。
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