ダム湖や自然湖沼において,浮遊微粒子の挙動は,工学的および環境的な問題と強く関わっている。本研究では,微粒子の水理学的挙動に関して,水温成層した貯水池において湖水流動と懸濁粒子に関する現地観測を行った。その結果,流速変動量は,鉛直成分が水平成分と同オーダーの大きさで生じており,このような流動が,湖水中で懸濁物質の長期浮遊が維持される要因である可能性が推測された。浮遊懸濁物質に関わる化学的な挙動については,三酸素同位体トレーサーを利用して,水柱や粒子内,堆積物中における酸素消費速度を見積もることに挑戦し,ある程度酸素消費速度の速い環境で実測することに成功した。
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