研究課題/領域番号 |
16K14309
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
萬 和明 京都大学, 工学研究科, 助教 (90554212)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大気再解析データ / 分布型水循環モデル / チャオプラヤ川 / ブミポンダム / 河川流量 / 擬似作成 / 年最大日流量 / 土壌水分 |
研究実績の概要 |
本研究では,限られた年数しか存在しない気象データから,多数年におよぶ河川流量データを擬似的に作成する手法の開発に取り組むことを目的としている.当該年度以前までに,タイ国チャオプラヤ川上流のブミポンダム上流域を対象に多数年におよぶ河川流量データを擬 似的に作成してきた.これを受けて当該年度では,擬似作成した大気場から求めた河川流量がどのような意味を持つのか,を調べるために水文統計分析を行った. 当該年度以前では,10年分のデータを元に擬似作成を行い,提案手法の妥当性を検討し,本手法の妥当性についてある程度の有効性が確認できた.そこで,当該年度では使用するデータを54年分に拡張し,計2916年分にもおよぶ河川流量データの擬似作成を行った.年最大日流量に着目すると,擬似作成された河川流量は,通常の手法で得られる河川流量と比較して,統計的に有意な差は確認できなかった.すなわち,擬似作成された河川流量は,概ね妥当なものであるとの結論が得られた. さらに,擬似作成された河川流量の年最大日流量について,洪水を生起させる降水量と洪水生起前の土壌水分が,それぞれどの程度の寄与があるかを分析した.その結果,年最大日流量の変動に対して,降水量に起因する変動は 590 m3 s-1 程度であり,土壌水分に起因する変動は 160 m3 s-1 程度であった.これは,土壌水分が年最大日流量の変動に与える影響が降水量のそれと比較して約 27% であることを示しており,降水量だけで河川流量の大きさが決まるとは限らないことを示す結果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の目的である,多数年におよぶ河川流量の模擬作成は既に達成されている.それに加えて,当該年度において,本手法の妥当性を検討する手法を確立し,本手法の妥当性についても確認ができている.さらには,本手法によって作成された河川流量を分析し,河川流量に与える降水量と土壌水分量の寄与についての分析を行った.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では,少数年のデータから多数年のデータを擬似作成する手法を提案し,その妥当性を確認した.今後は,元となるデータの年数が実際に入手可能な年数,例えば20年分であった場合に,その20年分のデータがどのような組み合わせであっても本手法を適用して,確率流量を推定することができるかどうかを分析する. また,本研究手法の提案およびその妥当性に関する研究は,チャオプラヤ川上流のブミポンダム上流域で行ってきた.周辺流域や他の地域でも,同様に適用できる手法であるかどうか,すなわち,本手法の汎用性がどの程度であるかを分析する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題では,多数年におよぶ流量計算を実施する.そのためのデータサーバの購入を計画していたが,全ての計算結果を保存するのではなく,保存するデータを取捨選択したため,既存のデータサーバにデータを保存することができた.次年度以降は,流量計算の対象をさらに拡大する予定であるるが,既存のデータサーバでは容量が不足する.そこで,次年度にデータサーバを購入し,計算結果の保存先を確保する予定である.
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