研究課題
本研究では,限られた年数しか存在しない気象データから,多数年におよぶ河川流量データを擬似的に作成する手法の開発に取り組むことを目的としている.これまでに,タイ国チャオプラヤ川上流のブミポンダム上流域を対象に多数年におよぶ河川流量データの擬似作成に取り組んできた.擬似作成した大気場から求めた河川流量に対して水文統計分析を行った結果,年最大日流量に着目すると,擬似作成された河川流量は,通常の手法で得られる河川流量と比較して,統計的に有意な差は確認できなかった.すなわち,擬似作成された河川流量は,概ね妥当なものであるとの結論が得られた.さらに,疑似作成する河川流量の元となるデータの年数を,現実として入手可能な年数である25年分に設定し,その25年分のデータがどのような組み合わせであっても本手法を適用して,確率流量を推定することができるかどうかを分析した.まず,手元に保有する全ての実時系列流量データ(54年分)を用いて,確率流量を求める.これを確率流量の真値とみなす.次に,54年の中から任意の25年を選択し,確率流量を得る.このデータを用いて擬似流量データを作成し,確率流量を求める.このようにして求めた疑似流量データによる確率流量が,25年分の実時系列流量データによる確率流量よりも真値とみなす確率流量により近しい値であるかどうかを分析した.その結果,選択した流量データに小さな流量が含まれる場合には,疑似流量データは真値とみなす確率流量を推定することが難しく,一方で,選択した流量データに大きな流量が含まれれば疑似流量データによる確率流量が真値と近くなる傾向が確認された.
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Proceedings of THA 2019 International Conference on Water Management and Climate Change towards Asia's Water-Energy-Food NEXUS and SDGs
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