研究課題/領域番号 |
16K14310
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大石 哲 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30252521)
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研究分担者 |
中道 治久 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00420373)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 火山雷 / Xバンド偏波レーダー / 電場観測 / 電場推定数値計算モデル / 放電による電荷の中和 |
研究実績の概要 |
本研究では,レーダー・ライダーと数値電場モデルを使った雷ハイブリッドモデルによって火山雷の観測と解析を行ってきた.雷ハイブリッドモデルでは気象雷,火山雷共にレーダーパラメータから空中の雨粒および火山灰の粒径分布を算出して,電荷・電場推定と放電による中和過程を計算する手法である.具体的には,京都大学防災研究所 附属火山活動研究センター桜島火山観測所のミー散乱ライダーを用いて光波が火山灰にあたった場合の散乱を計算することで火山灰の量および粒径を求めようとした.次にXバンド偏波レーダーを用いて,独自に開発した現位置火山礫粒径観測装置(Video Drop Size Detector, VDSD)を使った大気中の火山礫の粒径分布推定を行うSRHIモデルから,高橋の着氷電荷分離機構にしたがった大気電荷・電場推定と放電による中和過程を実装した.平成29年度も桜島火山の噴火回数が多くなかったので,平行してシミュレーションベースで雷発生を予測できる雷ハイブリッドモデルを開発を進めた. 開発では噴火によって噴出する火山灰の重力・熱・風による動きを数値計算によって表した鈴木らの結果を参照に用いて,そのシミュレーションの噴火があった場合のレーダーパラメータをシミュレートして,SRHIモデルをシミュレートする手法で続けた.独自に開発した現位置火山礫粒径観測装置と電場計を設置して電場計測を継続し,火山噴火が発生した場合の電荷・電場の変化を地上電場として計測できるようにして,そのメインテナンスも行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究実施計画は順調に遂行したが,桜島火山からの噴火回数がそれ以前と比較して激減したため原位置データを取りにくい状況であった.一方で火山雷の原因となる火山灰の衝突による電荷生成および放電による電荷中和機構を取り込んだプログラムコードを実装した.
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今後の研究の推進方策 |
桜島の火山活動が活性化してきたので,引き続き火山雷イベントでデータを取得すると同時に,オフラインで電荷量と電場の推定を行って,電場計で観測された結果と,計算によって推定された電場の結果を比較考察して,論文にとりまとめて投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
桜島火山の噴火回数が,例年に比べて少なかったために,観測のための旅費や消耗品の支出を見合わせた. 平成30年に入って噴火回数も増えてきたので,平成30年度に集中的に観測する.
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