研究課題/領域番号 |
16K14311
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
日比野 忠史 広島大学, 工学研究科, 准教授 (50263736)
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研究分担者 |
TOUCH NARONG 広島大学, 工学研究科, 特任助教 (50707247)
中下 慎也 広島大学, 工学研究科, 助教 (90613034)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生態系再生 / 竹粉 / アルカリ剤造粒物 / 乳酸菌 |
研究実績の概要 |
社会的に大きな問題となっている水域に放出された過剰有機物、特に未処理で放出せざるを得ない下水等の有機物を起源にもつ堆積有機泥により消滅された生態系を再生する技術として、石炭灰、鉄鋼スラグ、竹粉を主たる材料としたアルカリ剤造粒物を開発した。 混合した竹には有用な微生物(乳酸菌)の他、ミネラルやエネルギー源であるセルロース等が含まれている。竹の有効利用手法の一つは竹を発酵して竹溶液を土壌改善に用いる方法がある。竹粉を直接に土壌改善材料として利用できれば高い経済効果が得られるが、竹粉発酵に伴う有機酸は土壌を酸性化させることが課題として残されている。 アルカリ剤に竹粉を混合して造粒することによりこの課題を解決し、生物が活動できない土壌を生物が継続的に活動できる場に変えることを実現した。開発段階において有機泥内での乳酸菌の活動条件、灰分の溶解特性および灰分を供給した有機泥中での微生物の活性状態、および珪藻に利用される珪酸の構造を明らかにするとともに、その溶出方法を開発した。石炭灰からSiO2、Ca2+、竹灰からはK+、Mg2+のミネラル溶出が顕著であり、2つの灰を用いることで汚泥の浄化が進むことを明らかにした。この成果を進め土壌改善材料、性能が高い石炭灰造粒物(GCA)に竹粉を混合して高性能な底質・水質改善技術の開発するためGCA-竹粉混合材料の溶出特性を室内実験により明らかにした。竹粉を持った発酵により放出された有機酸や栄養塩類等は微生物を活性させる特性をGCAに融合することで底質・水質浄化に対するGCA効果を高める可能性が見出された。GCAにはpHの上昇効果や物質の固定効果があり、竹粉発酵に伴う酸性化や酸素消費はGCAを添加することで抑制できる。以上のことから、GCAと竹粉の配合を変化させることで、目的に応じた土壌づくりができ、GCA-竹粉混合材料は土壌改善材料として成り得ることを明らかにした。
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