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2016 年度 実施状況報告書

環境DNAを用いた高時空間解像度の河川内生物量推定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K14313
研究機関山口大学

研究代表者

赤松 良久  山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (30448584)

研究分担者 高原 輝彦  島根大学, 生物資源科学部, 助教 (10536048)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード環境DNA / アユ / カワムツ / 生物量 / 佐波川
研究実績の概要

山口県の佐波川において,アユを対象として,河川水に含まれるDNA濃度による現存量推定の可能性について検討した.GLMによってアユの現存量の空間分布を予測し,その結果を用いて,環境DNA濃度とその地点からどの程度上流までのアユの総重量と一番相関が高いかを検討した結果,400~800m程度がもっともR2値が高いことが明らかとなった.
また,アユ一尾当たりから分泌される環境DNAフラックスを現地実験によって算出し,佐波川において計測された環境DNA濃度と比較することによって,環境DNA濃度が反映する上流の範囲を推定した.しかし,実験で得られたアユ一尾当たりから分泌される環境DNAフラックスは実河川に比べて,大幅に過小評価している可能性が高いことが示唆された.
また,河川に生息する純淡水魚であるカワムツを用い,流水水路における実験により,流水環境下における生物量と環境DNA量の関係性を明らかにし,さらに,野外への適用を目的として,中国地方の3水系から得た水サンプルの環境DNA分析を行うことにより,各河川・各地点におけるカワムツの生物量の定量化を試みた.流水水路における実験により,環境DNA濃度と供試魚の総重量には明確な正の関係性がみられたため,環境DNAは,流水中の魚類の生物量を高精度に反映する指標であることが示された.さらに,小瀬川,佐波川および高津川の各地点におけるカワムツの環境DNA量の定量化を試みた結果,水系単位で比較すると,佐波川,高津川,小瀬川の順にカワムツの環境DNA濃度は高く,また水系内で比較すると,小瀬川および高津川は,上流域のほうが環境DNA濃度が高かったことに対し,佐波川については,下流域の環境DNA濃度が低いという点に関しては共通していたものの,中流でピークを迎えるという結果となり,河川によって,流程分布のパターンは異なっていた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

室内実験においては当初予定していたアユでは,実験水路内で大きなストレスを受けることから,対象魚をカワムツに変更した.その他は予定通り順調に進展している.

今後の研究の推進方策

H28年に引き続き,魚類・底生動物を対象とした水路実験を実施して,流量・水温を系統的に変化させることによって、水中に浮遊する分泌物・糞の量を放出源からの距離、流速、水温の関数として明らかにする.実験および現地調査結果をもとに,魚類・底生動物に対する環境DNA-バイオマス曲線を構築し、採水サンプル中の環境DNA計測を行うことによって、その曲線から河川内生物量を推定する方法を開発する。

次年度使用額が生じた理由

別件の学会等での打ち合わせによって,打ち合わせ旅費が節約できたため.

次年度使用額の使用計画

平成29年度の環境DNA分析試薬の購入に使用する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 環境DNAを用いた河川内の魚類現存量推定に関する基礎的検討2017

    • 著者名/発表者名
      赤松良久,乾 隆帝,一松晃弘,河野誉仁,土居秀幸
    • 雑誌名

      土木学会論文集B1(水工学)

      巻: 73 ページ: 1111-1116

  • [学会発表] 環境DNAを用いた河川内の魚類現存量推定に関する基礎的検討2017

    • 著者名/発表者名
      赤松良久
    • 学会等名
      水工学講演会

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公開日: 2018-01-16  

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