干潟に到来した電波は、水分の多いところと少ないところでは、反射波の強度が変わるため、電波強度から水分が多いところと少ないところがわかる。干潟は潮位の影響を受けるため、乾いて水分が少ない場所は基準海水面からの比高(ひこう)が高く、水分の多いところは逆に水面からの比高が低いことがわかる。干潟を反射して電波の強度を知ることにより、干潟の高低差を知ることができると考えた。また、円偏波の電波が干潟などで反射すると、ブリュスター角を界に偏波面が変わる。GPSでは右旋回の円偏波の電波が発射されており、一般的な受信アンテナにも右旋回の円偏波を用いる。電波の偏波面を右旋回と左旋回のそれぞれ異なる偏波面で受信し、反射波と直接波での受信強度の違いについて調べた。 本研究では、異なる偏波面の電波を受信するために、巻き方の向きが異なるヘリカルアンテナを作成した。反射波を強く受信できることを確認した。試作アンテナでの実験と並行して、右偏波、左偏波を同時に観測できる市販のアンテナを使った実験を行い、偏波面が変わることを利用して反射の有無から干潟の状況を推定できた。 また、観測機器を搭載して飛行するために中型のドローンを導入し、観測機材を搭載して干潟上空を飛行できるかを確認した。広い範囲を計測するためには、頻繁に電池交換を行う必要あがり、その度に離陸地点に一旦戻る必要があることがわかった。消費電力を抑えて広い範囲を飛行するために、翼つきの新たなマルチコプターを試作し、その性能についても確かめた。翼ありの場合では、飛行条件によっては約50%程度の飛行時間が長くできることを確認した。電波無響室での実験では、反射波と直接波の分離にアンテナ偏波面とアンテナ利得が有効であることがわかった。 干潟での反射については、天頂付近に留まる時間が長いQZSみちびきを利用して実験を行なった。
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