研究課題/領域番号 |
16K14320
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
織田澤 利守 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30374987)
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研究分担者 |
大平 悠季 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60777994)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 土木計画 / 交通基盤整備 / 企業間取引 / 企業立地 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,企業間取引データを用いて,(A)企業間取引ネットワークが都市における企業の立地・集積に及ぼす影響を実証的に明らかにすること,(B)交通基盤整備が企業間取引ネットワーク及び企業の立地分布に及ぼす影響についてパネルデータを用いた分析を行うことである.平成28年度には,経済産業研究所(RIETI)より提供いただいた企業間取引データを用いて,広島都市圏を対象にした(A)の分析を行った.その結果,(A1)企業間取引ネットワークにおいて中心的な企業ほど,地理的に中心的な場所に立地すること,(A2)産業分類によってその影響が異なること,(A3)ネットワーク中心性指標並びに地理的な中心性指標(アクセシビリティ指標)の選択によらず,上記の結果が頑健であることが明らかとなった.さらに,(B)の分析に関連して,都市間交通基盤整備に伴う企業間取引ネットワークの変化が企業の生産性に及ぼす影響について推定を行った.推定結果より,(B1)新幹線駅や高速道路ICに近く,集積指標(Effective Density)の値が大きい企業ほど仕入れ取引数を増加させやすい傾向があること,(B2)仕入れ取引数の増加が企業の生産性に有意に正の影響を与えること(因果効果)が確認された.なお,これらの成果については,平成29年6月に開催予定の第54回土木計画学研究発表会でそれぞれ発表を行った上で,学術論文集へ投稿する予定である.これらの他に,社会的ネットワークを通じた相互作用と混雑を考慮した最適交通料金政策の進化的遂行について行った研究の成果を学術論文として公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に用いる企業間取引データは大規模データ(Big data)であり,統計分析に取り掛かる準備段階でのデータ整理にかなりの時間を要したため,(A)の分析については 1都市圏を対象とした分析の留まった.一方で,当初,平成29年に予定していた(B)の分析の一部を先行して行うことができたことから,全体としては概ね順調に進捗していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には,他のいくつかの都市圏を対象に(A)の分析を実施し,推定結果の比較・考察を行う予定である.また,(B)の分析についても,交通基盤整備が企業取引ネットワークに及ぼす短期的な影響に加え,企業の集積立地に及ぼす長期的な影響の分析を行っていく.これまでの作業を通じてデータの整理や統計処理に関するノウハウが蓄積しており,予定通り研究を遂行できるものと考えている.なお,研究の遂行に当たっては,海外研究協力者のvan Ommerenアムステルダム自由大学教授と定期的にテレビ会議による研究打ち合わせを行うとともに,オランダもしくは日本でのミーティングも予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初実施予定であったデータの集計作業が平成28年度中には実施できなかったため,そのために計上していた謝金支払い金額が次年度使用額となった.
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次年度使用額の使用計画 |
当該のデータ集計作業を平成29年度に実施し,次年度使用額から作業に対する謝金を支払う予定である.
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