研究課題
最終年度は,2期目のユーティリティデータなどの収集,昨年度標準化した現地調査方法による現地調査,モデルの高度化とモデルの妥当性の評価を実施してきた.取得時期が異なるユーティリティデータが整備されたことにより,水道栓の開栓・閉栓といった状態の変化が扱えることになった.また,人口密度のデータについても2015年のデータを整備し,2010年からの変動を新たな情報として追加した.固定資産情報からは建物の構造,建物の種類を取り上げ,これも追加した.現地調査については昨年度と同様の手順と判定基準で実施し,1年間での変動を含んだ調査結果を得ることができた.モデルの高度化として,本年度は階層ベイズロジットモデルの導入を検討した.特に,2期での変動を「2期で空き家」「2016年まで空き家」「2017年から空き家」「2期で非空き家」といったカテゴリーで整理した上で,空き家らしさを順序付けした階層ベイズ順序ロジットモデルの導入を試みた.また,階層ベイズの採用によって,建物の構造・種類といった建物差や用途地域による地域差をモデル上で表現させることとした.検討ケースとして,建物タイプ・用途地域・建物の構造・建物の種類の4種類の変数の組み合わせから16ケースを設定し,それぞれの判別精度を検証した.結果として,用途地域と建物の構造を採用したケースにおいて,「2期で空き家」と「2期で非空き家」の判別精度が88%を超えることを確認した.一方で,「2016年まで空き家」「2017年から空き家」といったカテゴリーについては十分な判別精度が得られず,提案したモデルの限界が示された.なお,「2期で空き家」「その他(非空き家)」といった二つのカテゴリーで判別したところ,85%以上の判別精度が得られることを確認した.
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日本写真測量学会平成30年度年次学術講演会発表論文集
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巻: 26 ページ: D5_4_1, D5_4_4