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2016 年度 実施状況報告書

雨水吐き口における水位と電気伝導度の変化に基づく雨天時越流水汚濁負荷量の評価

研究課題

研究課題/領域番号 16K14329
研究機関東京大学

研究代表者

古米 弘明  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40173546)

研究分担者 春日 郁朗  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20431794)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード環境質定量化・予測 / 連続モニタリング / 雨天時汚濁 / 合流式下水道
研究実績の概要

雨天時汚濁負荷源として重要なCSOの発生に着目して、管路内や越流箇所に電気伝導度(EC)計、水位計を設置することにより、CSO観測を連続的に行うことを試みること、そして温度とEC の連続的な変化情報から、CSO発生の有無、発生期間、汚濁負荷の大小を評価する方法を検討すること目的として,下記の項目について研究を実施した。
1.目黒川排水区における吐き口の選定:東京都下水道局からすでに提供をいただいている下水道台帳データ (SEMIS)を入力した分布型下水道モデル(InfoWorks ICM)による雨水流出計算を行い、越流量の大きなウエイトを占めている雨水吐口の中から数か所を選定した。
2.機器の設置と雨天時流出センサデータの取得:東京都下水道局と選定箇所における水位計とセンサ付きEC計の設置をお願いしたが、危険性が高いことから設置許可が得られなかた。代替として、他の研究プロジェクトにおける研究対象である横浜市鶴見川流域のポンプ排水区において、雨水幹線から新羽末広幹線への越流箇所4か所にセンサを設置した。そして、連続的なデータ収集を行った。
3.センサデータ解析と分布型下水道モデル計算の試行:設置個所は、豪雨の際にしか下水は流入しないことから、降雨強度との関係から、間欠的な水位変化と電気伝導度(EC)の変化の関係を整理した。また、ポンプ所の運転管理情報を組み込んだ下水道モデルにより、水位変化の再現性について検討したところ、解像度の高い時空間降雨分布データを入力することが重要であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目黒川排水区の分布型下水道モデルを構築して、降雨に伴う越流状況やその越流量の大小を評価することが可能となった。東京都下水道局との協議により、管路内や越流箇所へのセンサ設置は危険性が高いことから、当該排水区へのセンサ設置は実施できなかったものの、その代替として横浜市鶴見川排水区において、雨水幹線から雨水貯留管への越流箇所に水位計とEC計の設置を他の研究プロジェクトとの連携により実施することができたことは、非常に大きな成果である。そして、連続的に水位とECデータの取得が継続できている。
また、鶴見川流域の下水道モデルを構築して、降雨における水位変化の再現性も検討できる状況になっていることから、研究は順調に進展している。

今後の研究の推進方策

1.センサデータの継続取得と降雨特性と関係整理
前年度に引き続き、横浜市鶴見川排水区において雨天時における水温と電気伝導度の変化データを、水位変化とともに継続して取得する。XRAINデータを入手して、降雨強度などのパターンと雨水幹線から貯留管への越流発生との関係整理をクラスター解析などにより実施する。
2.水位変化とECとの関係整理
降雨に伴う水位上昇やEC変化の関係を整理して、雨水による下水の希釈と管路内堆積物由来の電解質上昇の影響が、ECにどのように反映されるかの評価を試みる。これにより、下水の希釈の影響と堆積物由来の汚染増加の両者を統合した汚濁負荷濃度としてECが活用できるかどうかを検討する。
3.分布型下水道モデルの検定と精緻化
蓄積した水位観測データを基に、分布型下水道モデルのシミュレーションを実施して、ポンプ運転による水位変化への影響評価、管路の集約化に伴う流出過程のパラメータの精緻化を行う。特に、入力降雨情報としては、1分間隔、250mメッシュで与えられるXRAINの活用の在り方を検討する。また、ECデータを活用して、管路堆積物を考慮した水質シミュレーションモデルの在り方を検討する。

次年度使用額が生じた理由

東京都下水道局との協議の結果、当初予定していた東京都目黒川排水区におけるセンサ設置の許可が得られず、センサ購入を実施したものの、設置のための費用が執行できなかった。その結果、当該排水区におけるデータ取得ができず、当初予定した学会への参加も見送った。

次年度使用額の使用計画

次年度では、横浜市鶴見川排水区内の雨水幹線における水位と電気伝導度のセンサの設置が、他のプロジェクトとの連携により可能となったことから、比較的降雨量の大きなイベントに対して、水位やECの測定が実施可能となった。したがって、鶴見川排水区における連続観測に関連した、センサ回収作業などのその他費の執行、学会参加に伴う旅費の執行を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 下水管内堆積物の動態モデル解析を用いた清掃水投入による雨天時越流負荷削減量の評価2016

    • 著者名/発表者名
      賀須井 直規、春日 郁朗、栗栖 太、片山 浩之、古米 弘明
    • 雑誌名

      土木学会論文集G(環境)

      巻: 72 ページ: III_153-III160

    • DOI

      http://doi.org/10.2208/jscejer.72.III_153

    • 査読あり
  • [学会発表] 下水管内堆積物の動態モデル解析を用いた清掃水投入による雨天時越流負荷削減量の評価2016

    • 著者名/発表者名
      賀須井 直規
    • 学会等名
      土木学会第53回環境工学研究フォーラム
    • 発表場所
      北九州国際会議場、北九州市
    • 年月日
      2016-12-06

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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