本研究では、活性汚泥における微生物生態系を制御した実験を行うことで、微生物の食物連鎖の変化に対して、窒素安定同位体比の変化を調べた。具体的には、捕食-被食作用の影響のみを把握するため、活性汚泥を飢餓条件下(曝気のみの条件)において運転し、活性汚泥を連続的に採取して分析に供することで、窒素安定同位体比等の変化を把握した。その結果、36日後には活性汚泥濃度が半減するとともに、窒素安定同位体比が8.3‰から10.8‰に上昇する傾向が確認された。本研究により、窒素安定同位体の自然存在比に着目することで、微生物食物連鎖の機能(捕食効果)を定量的に評価できる可能性が示唆された。
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