今年度は柱と梁を剛接合しない=摩擦接合した1スパン角の長方形4層構造物を作成し、振動台を用いて動的加振試験を実施した。実験は1層時の挙動を確認したのち、2層時でも実験して情報を収集、さらに4層まで積層して実験を行った。各層には1トンの錘を載せて長周期化を図った。実験の結果、1層時には兵庫県南部地震や熊本地震の地震動の80%入力を与えた場合にはクリアランスを超えてストッパーに衝突する現象が生じた。その際の摩擦係数は0.3~0.4程度と推定された。4層を積層した場合には構造物が長周期化するとともに各層の変位が分散することで、兵庫県南部地震や熊本地震の地震動の60%入力を与えた場合でもストッパーに衝突することはなかった。しかし、一回の実験で残留変形が残るのでその都度センターを出す必要があった。このことは摩擦接合構造物ではやはり残留変形を実用的な範囲に留めるためにはかなり強力なセンタリング機構が必要であるということがわかった。以上の検討により、滑構造は特に何も装置を設置しない滑動部とストッパ、およびセルフセンタリング機構で構成することが適切である。
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