研究実績の概要 |
1. 予測モデルの改良:人体熱生理モデルについて、平成28, 29年度に改良した人体熱生理モデルの猛暑環境下における精度検証を実施するため、東北大学青葉山キャンパスにおいて日向が形成される地点とテントを用いて日陰を形成した2地点で被験者を日向9名、日陰10名に増やし、人間が曝される物理環境と人体生理量の測定を実施した。また、樹木蒸発散モデルについて、アーバンクールスポットとして用いられる街路樹が歩行者空間の温熱環境に及ぼす効果を高い精度で予測するため、街路樹の蒸発散モデルに対して、蒸発散量、葉温の予測精度の検討を実施した。検証対象の蒸発散モデルとしてβ法、Penmam-Monteith法(以下、PM法)を用い、ケーススタディを実施した。その結果、PM法に清野らが提案する気孔コンダクタンス式を組み合わせたモデルを用いた予測精度が高く、これを放射解析プログラムに組み込んだ。 2. 人体の温熱生理評価に基づくアーバンクールスポットの最適配置計画の提案:平成28年度に提案した歩行者の熱中症Riskを評価する屋外温熱環境評価手法をさらに発展させ、ある経路を歩行する間の人体生理量が、ASHRAEにて規定される基準値以下で歩行することが可能であるかどうかによって、快適に歩行可能な街路であるかどうか判定し、街路の温熱快適性を歩行者の生理量から評価する手法を提案した。これに基づき、街路樹の配置間隔を系統的に変化させた列植樹木を対象に解析を実施し、配置間隔と歩行者の快適性の関係を分析した。 3. 実市街地における人体の温熱生理評価:新橋を対象に放射解析とCFD解析の連成により、街路内のポイント毎の温熱環境を解析した。街路内を歩行する人間の生理量をこれまで改良してきた人体熱モデルを用いて予測し、上記手法に基づき、街路樹を含めた都市温暖化に対する各種対策(壁面高反射化、壁面緑化、遮熱舗装)を評価した。
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