研究課題/領域番号 |
16K14357
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山崎 寿一 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20191265)
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研究分担者 |
山口 秀文 神戸大学, 工学研究科, 助教 (60314506)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 持続力 / 拡大コミュニティ / 転出者 / 移住者 / 農村計画 |
研究実績の概要 |
本研究は、人口縮退社会の進行や巨大災害による地域社会の崩壊が危惧される現代社会において、農村が持続、復元する糸口を、過疎集落・被災集落の現実(実体)の中からそのヒントを抽出し、新たな地域、居住、計画に関する概念・理論を構築したいという視座から、研究を進めた。 ここでは、限界集落や被災集落の消滅が危惧され半島や離島、奥地限界集落が現在も存続している実態を調査し、高齢者・被災者の居住とコミュニティの持続を支えている「拡大家族」「拡大集落」の存在、二地域居住や移住といった新たな居住スタイルの出現が、地域社会の復興・持続の原動力=復興力になっていることを明らかにし、、新たな農村計画の可能性を追求した。 特に地域外居住者・転出者を含む被災地域コミュニティの実態は、「拡大コミュニティ」論の構築へと発展させた。この点については、代表者が研究分担者である科研基盤研究(A)連携と持続に着目した東日本大震災の農村復興に関する総合的農村計画研究(研究代表者:廣田純一)への参加を通じて、理論的な検討と事例の拡充に努めた。その成果は、上記科研成果報告書に掲載されている。 また本年度は、新たに適切な研究対象を設定し、離島において移住者の増加で注目されている香川県直島と沖縄県石垣島白保集落における現地調査を進め、直島では、(1)アートによる地域づくりにより近年移住者が増加していること、移住者のコミュニティ形成と地元コミュニティとの関わりについて明らかにした。また沖縄県石垣島白保集落では、明治後期以降の集落空間と居住者構成の変容の実態、地域住民の世帯分離・Uターンと移住者の居住特性について調査し、成果の一部を研究発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、移住者による離島の地域活性化という課題と拡大コミュニティ論の充実にも研究の重点を置いた。当初予定していた既往研究・調査資料の再整理・分析・図化作業は、進捗が遅れている。また四国山村・農村調査は日程の都合がつかず、次年度に繰り越すことにした。
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今後の研究の推進方策 |
神戸大学の研究室に研究を進める基礎的な設備は整備されている。また、研究課題に関連するこれまでの現地調査資料、統計・専門書などの資料の蓄積と合わせ平成28年度に入手した資料を活用して研究を進める。 本研究は2名で行うが、各調査フィールドでの調査蓄積があり、調査協力者・専門的知識の提供者がいる。これら協力者は研究代表者のこれまでのフィールド研究における現地協力者であり、協力して研究を進めていく。また、研究室学生の調査補助、調査研究資料整理により効果的に調査研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の旅費の計算において、研究代表者の見込みと若干の誤差が生じたため、7,502円を次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に予定している調査旅費に組み込んで使用する。
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