研究課題
ハーフメタル型電子状態を有する4元系ホイスラー合金の探索研究という意味においては、CoVMnAlとCrTiVAlの2種の多結晶試料を作製し、基本的な性質を調べた。CoVMnAlついては中性子粉末回折測定を行い、CoとMnが完全に不規則配列をしたL21型構造を示すことが明らかになった。今までのX線回折測定の結果では、Co, V, Mn,およびAlがそれぞれ異なるサイトに完全に規則化した、LiMgPdSn型規則構造が平衡状態であると考えられていたが、実際に得られた試料の原子配列はそれとは異なっていることが明らかになった。結論された配列を基にコヒーレンとポテンシャルを用いた第一原理計算を行ってトータルエネルギーを計算したところ、LiMgPdSn型構造の方が基底状態ではエネルギーが低いが、L21型構造とのエネルギー差は56 meV/cellであり、数百℃の有限温度では逆転し得る程度の僅かな差であることが判った。CrTiVAlについては、多結晶試料を作製して示差走査熱量計(DSC)を用いて熱分析を行ったところ、920℃において2次の変態と思われる兆候が観測された。低温における磁化曲線では磁場に対して直線的な変化を示し、温度に対して増加する傾向が見られたので、基底状態では反強磁性であると考えられるが、その変態がネール温度なのか、規則ー不規則相変態温度であるのかは、本研究では明らかにされなかった。また、本研究期間においてハーフメタル型強磁性体やフェリ磁性体の電子状態を直接的に観測する研究は大いに進展した。Mn2VAl、Co2MnSiの単結晶試料を作製し、SPring-8にてX線吸収分光測定や磁場中共鳴非弾性X線散乱測定を行い、これらの磁気円二色性を調べた。第一原理計算によるスペクトルと比較し、ハーフメタル型電子状態を仮定した際の計算結果が実験スペクトルをよく再現していることが判った。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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