Fe-Ga系、Mn-Ga系の合成過程に対する磁場効果を解明するために、ゼロ磁場と磁場中における固体Feと液体Ga、固体Mnと液体Gaとの反応について、Fe/Ga及びMn/Ga拡散対試料を用いてを評価した。アーク溶解し成型したFeやMnを熱処理した後、表面を研磨した。FeやMnの研磨面の上にGaを乗せ、石英管にアルゴンガスで封入した。その後、試料を目的の温度と時間で、ゼロ磁場、5T及び10T中の熱処理をした。5Tまでの実験は鹿児島大学の無冷媒超伝導マグネットを利用した。10T以上の磁場中の実験は東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センターの10T-無冷媒超伝導マグネットと磁場中熱処理炉を全国共同利用で行った。熱処理した試料を磁場方向と平行に切断し、X線回折測定や電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)等によって切断面の合成した相の評価を行った。 Fe-Ga系では次の成果を得た。(1)Fe中にGaが拡散し、Fe3Ga、Fe3Ga + Fe6Ga5、Fe6Ga5、Fe3Ga4の形成が確認された。(2)Fe6Ga5、Fe3Ga4相の厚さと熱処理時間の1/2乗の関係を見出した。(3)Fe-Gaの反応は拡散律速に従うこと、また10 T磁場中では相の生成が約40%抑制されていることが見出した。得られた結果について総合的に考察、液相Gaの粘性が磁場によって増大するモデルを提案した。 Mn-Ga系では次の結果を得た。(1)A相(Mn:Ga=4:5)、B相(Mn:Ga=2:3)、C相(Mn:Ga=3:7)の合成を確認した。(2)5T磁場印加により、A相とB相の合成が促進された。(3)A相とB相は強磁性相と示唆される。
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