研究実績の概要 |
MnOx修飾ルチルについて、暗所での有機物に対する分解活性の結晶面方位依存性を単結晶と粉末試料を用いて比較した。ルチル単結晶の(110)、(001)面に対しCCC法を用いてMnOxを担持したところ、単結晶の(110)面ではMn(III)とMn(IV)が存在するのに対し、(001)面ではMn(II)とMn(III)のみであった。この傾向はエネルギー計算の結果とも一致した。一方(110)面を側面、(001)面を底面とするルチルナノロッド粉末を合成し、同様にMnOx担持を行ったところ、暗所での水中の2-ナフトール分解では、比表面積と担持量が低いにも拘らず、市販のルチル粉末にMnOxを担持したものと同等の活性を示した。分解活性へのMnOxの寄与を見積もったところ、ナノロッド試料では市販のルチル粉末に比べ2倍以上に増大することが分かった。MnOxのMvK機構の発現は、基材との界面設計が重要であることが示された。 ルチル型TiO2表面にCCCプロセスを用いてMnOx, SnOx, (Mn,Sn)Oxをそれぞれ修飾した。SnOx, (Mn,Sn)Oxで修飾した試料は、その上からさらにMnOxを修飾した試料も作製した。これらの試料を用いて、水中での2-ナフトールの分解活性について調査した。得られた試料のMnにはいずれもMn4+が含まれていた。(Mn,Sn)Oxを修飾後にMnOxを修飾した試料は、Mn4+の割合が最も多く、また最も高い分解活性を示した。活性の序列からMn4+の割合や、MnOxと下地の相互作用の影響が示唆された。 タングステンモリブデン固溶体酸化物((Mo,W)O3)とそれらの銅との化合物 Cu(Mo, W)O4は暗所でも可視光下でも抗菌活性を示した。
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