強磁場中アデティブマニュファクチャリングについて,非鉛圧電材料として期待されるニオブ酸ストロンチウムナトリウムを原料に用いて,配向シートの作製と焼結について取り組んできた。 今年度は新たにシートの積層化を試み,特性評価までを行った。スラリーの分散,光硬化可能なシート厚さ,磁場中保持時間,紫外線照射時間などについて検討した結果,100μmのシートをスピンコーティング法で作製し磁場中で30秒静置したのち光硬化させることで一層目のシートを作製し,このシートの上にスピンコーティング法でスラリーをシート化し同様の方法で硬化させ,この作業を7回繰り返すことで厚さ700μmの成形体を得ることができた。脱脂後,焼結させて焼結体を得たところ,配向焼結体も得られた。さらに,高電場中で分極後,圧電特性を測定した結果,配向により特性が2倍に向上することが確認された。この結果は圧電体にかかわらず他の物質でも適用できることを意味する。 この方法を屈折率が樹脂と近い物質に適用するとより厚いサンプルの作製が可能である。そこでハイドロキシアパタイトの粉末を用いて配向試料の作製を行った。スラリー調製を始め種々の条件を検討した。その結果,一度に1mm以上の厚さの配向した成形体を作製することができた。また,高い配向性についても確認することができ,本方法が他の物質にも十分適用できることを示すことができた。 配向挙動の理論について,粒子の磁場中配向の速度および配向するまでの配向時間について実験的に検討したものを論文化し,印刷された。配向体の異方性焼結については,昨年度までに行った配向方向毎の焼結速度や焼結時の様子を長焦点カメラを用いて観察結果について論文化し,投稿した。
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