本研究では,強誘電体・圧電体の物質研究の新しいパラダイムの構築を念頭に,構成元素の共有結合性に依存しない機構に基づいて、新規強誘電体・圧電体の開拓を目指した.具体的には,ルドルスデン-ポッパー型層状ペロブスカイト酸化物に焦点を当て,強誘電体の物質探索を行った.計算と実験を組み合わせた研究を通じて,Sr3Zr2O7が新規強誘電体であることを発見した。また,二種類の非極性の構造歪み(酸素八面体回転)の組み合わせが結晶構造の反転対称性を破り,強誘電性の発現をもたらすことを実験と理論から明らかにした.さらに,この系では酸素八面体回転により多くの準安定相が存在し,強誘電相と競合していることがわかった。
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