ジルコニウム(Zr)イオン照射を施したα-Al2O3(コランダム型構造)の熱処理に伴う構造変化を透過電子顕微鏡法およびX線回折法により調べた。イオン照射試料表面には、コランダム安定相と隣接して立方晶スピネル準安定相が形成されていた。この試料に熱処理を施すと、1073Kから1273Kの温度範囲で安定相から準安定相への構造変化が起こることが確認された。一方、1473K以上の熱処理では、通常のスピネル→コランダム相変態が誘起されるとともに、ZrがZrO2として析出した。高分解能像観察およびナノビーム電子回折実験の結果、このZrO2は圧相と同じ結晶構造を有することが明らかとなった。
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