全固体ナトリウム電池へのNa金属電極の適用に向けて、Na3PS4固体電解質との界面安定性について調べた。全固体対称セル(Na/Na3PS4/Na)を作製したところ、保持時間の経過に伴ったセル抵抗が増加し、Na3PS4の一部が還元分解していることがわかった。昨年までのLi金属界面修飾の検討結果を基にして、Na金属/Na3PS4界面に対してAu薄膜の挿入を行ったが、セル抵抗の増加が同様にみられ、Au薄膜の挿入では還元分解が抑制できないことがわかった。 Na3PS4との安定な界面形成にむけて、Na-Sb合金負極(作動電位は約0.6 V vs. Na)に着目した。NaとSbとKetjen Blackを出発原料に用い、Na-Sb合金のメカノケミカル合成を行ったところ、仕込み組成に対応したNaSbおよびNa3Sb合金相が得られた。全固体対称セル(Na-Sb/Na3PS4/Na-Sb)を作製したところ、セルは室温で繰り返し充放電が可能で、330 mAh g-1の容量を10サイクルの間、安定に保持した。よって、Na-Sb合金が全固体ナトリウム電池用の金属負極として有望であることを明らかにした。 ナトリウム金属電極との理想的な接合界面の形成を目的として、パルスレーザー堆積法を用いたNa3PS4電解質薄膜の成膜条件について調べた。KrFエキシマレーザを用いて、数ミクロン厚の緻密なアモルファス薄膜を作製することができた。ICPおよびラマン分光法の結果から、得られた薄膜の組成はNa3PS4と考えられる。薄膜は200℃で熱処理することによって結晶化し、導電率が増大した。熱処理後の薄膜は3.5×10-5 S cm-1の室温導電率と45 kJ mol-1の伝導の活性化エネルギーを示し、ナトリウムイオン伝導性を示す電解質薄膜を得ることに成功した。
|