研究課題/領域番号 |
16K14399
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
池田 輝之 茨城大学, 工学部, 教授 (40314421)
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研究分担者 |
篠嶋 妥 茨城大学, 工学部, 教授 (80187137)
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
鵜殿 治彦 茨城大学, 工学部, 助教授 (10282279)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 熱電材料 / 熱伝導率 / ナノ構造 / コンポジット構造 |
研究実績の概要 |
絶縁体ナノ粒子同士の粒界にシングルナノメートルの厚さをもつ熱電半導体(伝導相)をセル壁状に析出させ,熱電半導体のナノセル構造を実現させ,量子効果と熱伝導率の低減効果により熱電性能指数を飛躍的に増大させることを目的とし,材料作製プロセスの確立と得られた試料の特性評価を行った.バルク材料に前述の構造を導入するために,二つの方法を試みた. 第一の方法では,高エネルギー非平衡状態を介して,絶縁体-熱電半導体の強制固溶体を作製し,得られる大きい相変態の駆動力を利用して,微細に熱電半導体を析出させる.高エネルギー非平衡状態を得るプロセスとして高エネルギーボールミル法を採用し,ナノセル化を行った.ボールミルを施す過程でX線回折を測定したところ,ボールミル時間の経過とともにSiのピーク強度が低下し,Siの粒の微細化あるいは絶縁相への固溶が示唆された.その後,パルス通電焼結法によりSi-Al2O3粉末を焼結したところ,Si-Al2O3ナノ複合組織が確認された. 第二の方法では,予めボールミル法によりAlをナノ粒子化し,それをH2Oと反応させることにより酸化しBoehmite(AlOOH)のナノファイバーを合成する.次に,BoehmiteにSiを加え,さらにボールミルを行い,Siを微細化するとともにSiとBoehmiteの混合を図る.その後,パルス通電焼結法によりSi-Al2O3粉末を焼結したところ,Si-Al2O3ナノ複合組織が確認された.この組織は特に微細で,粒子の平均径は10nm程度である. いずれの試料においても,熱伝導率がシリコンとアルミナのバルク値に比べて大きく低下しており,室温から300°Cの温度範囲で温度に依存しない.これは本手法で導入したナノ構造がフォノンのウムクラップ散乱によるフォノンの平均自由行程より小さく,フォノン散乱を律していることを示唆する.
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