昨年度での研究結果をうけ、今年度では、まず酸素ガスを用いた「ナノバブル」作製を行い、そのナノバブルが存在している環境下での金属ナノ粒子作製を試みた。 並行して、SPring-8での硬X線を用いたXPS測定(HAXPES測定)を駆使し、木ナノ粒子コロイド溶液中における金ナノ粒子表面における酸素原子の存在割合を見積もることに成功した。また、その酸素原子がイオンの状態で吸着することにより形成される電気二重層の存在により、互いの金ナノ粒子が凝集することがなく、高い分散性を長時間(数ヶ月オーダー)にわたって沈殿物が生じない理由の説明がつくことを見出した。 ナノバブル作製については、バブル径は「概ね100 nm」程度の大きさを持つものと考えられているが、結果的にバブルサイズについての知見を得ることはできなかった。基本的にバブルを発生させるノズルの機械的な内径と水圧の相間でバブル径は決められるが、バブル径の制御までは達成できなかった。また、酸素バブルが存在している水溶液中で低温プラズマを形成し、その環境下で金ナノ粒子の作製を試みた。その結果、有意に金ナノ粒子表面に多くの酸素原子が吸着している結果は得られなかった。これは、低温プラズマを形成した際に生じる金ロッド電極間のバブルに対してどの程度の量のナノバブルが送り込まれるかに酸化表面の作製が依存していると考えられ、今後に溶液温度、バブル密度などのパラメータを最適化することを予定している。さらに、前年度に作製に成功しているマグネシウムナノ粒子についても、その表面の窒化反応が促進できるかについても実施を考えている。
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