研究課題/領域番号 |
16K14406
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅沼 克昭 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (10154444)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ストレスマイグレーション / 接合 / 銀 / 拡散 / 強度 / ヒロック |
研究実績の概要 |
ストレスマイグレーションを利用することで、Agの薄膜を形成したSiCなどの低膨張半導体デバイスの低温無加圧接合が実現することを見出したが、このストレスマイグレーションを利用した構造材接合を目的に、基材を低膨張係数である代表的な材料としてシリカ(α=0.6×10-6/K)を選び、20mm角の接合面で10mm高さのシリカブロックにTiを100nmの厚さで下地コートした後、Agを1ミクロンの厚さに蒸着した。このシリカブロック同士を250℃から400℃の間で0.1MPaの弱い加圧をしながら大気中接合した。接合体から3mm×3mm×200mmの曲げ試験片を切り出し、強度評価と接合組織変化を調べた。 接合温度300℃において最も高強度が得られ、最大50MPaを超えることが判明した。Agスパッタしたブロックの大気中アニールでは、接合面にAgヒロックが多数形成されるが、300℃において最も密度の高い状態が得られることが分かった。接合界面には、300℃において最もボイドが少ない状態となり、低温側では接合面に部分的にボイドが残され、高温側では接合面は消失するものの、Ag膜中に粗大なボイドが形成されるために強度が低下する。従来のSiCなどの半導体ダイの場合の接合最適温度は250℃であったことから、シリカブロックの場合は50℃ほど高い温度で最適な接合がなされる。 接合面周辺の未接合部が約500ミクロンの幅で存在するが、この部分はヒロックの密度が少なることが分かった。有限要素法の計算により、接合面の周囲では過熱による圧縮応力が低下する領域が形成されることが示され、この応力の低下が一つの原因で未接合部が発生すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シリカをモデル材料として、目標であるストレスマイグレーションを利用した大面積構造材接合の接合が実現することを実証した。
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今後の研究の推進方策 |
ストレスマイグレーションを利用した構造材接合が実証できたので、課題として明らかになった未接合のエッジの処理法、基材のサイズや材質の影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の計画の研究内容は、サイズ効果を除きほぼ達成できている。経費残が出た主な理由は、海外における国際会議発表の旅費であるが、これは、他の発表案件と重なったため、残となった。一方、当初予定していなかった銅の上にチタンを厚さを変えて下地コートして強度変化を得られることを見いだした。サイズ効果に関しては、平成29年度に開始する予定で、異形への接合も含めて
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次年度使用額の使用計画 |
以下を予定する。1)消耗品:510,000円、成果発表国内旅費:10,0000円、海外発表(米1名):400,000円、2)研究補助:1,300,000円、3)投稿料:80,000円
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