研究課題/領域番号 |
16K14417
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐野 智一 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30314371)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フェムト秒レーザー駆動衝撃波 / 超高ひずみ速度変形 / 転位密度 / 転位核生成 / 超音速転位 |
研究実績の概要 |
申請者らはこれまで、純鉄のフェムト秒レーザ駆動衝撃圧縮によって高密度転位を有する特異なナノ結晶が形成されその過程は従来の強加工プロセスとは異なること、さらに圧縮初期過程で超高速かつ巨大に変形することを見出してきた。一般に、超高ひずみ速度を実現するには、超高速転位あるいは転位の超高速増加が必要となる。しかしながら、この現象は微視的すなわち格子欠陥レベルではいまだ満足に説明されていない。本研究の目的は、超高ひずみ速度で物質が変形する際の転位の挙動をX線で直接計測することによって、超音速転位あるいは転位を介在しない塑性すべりの存在を調べ、衝撃波頭背後での転位核生成モデルを新たに構築することによって、超高ひずみ速度変形の機構を明らかにすることである。 今年度は、フェムト秒レーザ駆動衝撃圧縮現象その場計測装置を理化学研究所 播磨事業所に建設されたX線自由電子レーザー施設SACLAに構築し、純鉄の圧縮初期過程の格子ひずみをその場計測した。衝撃波を駆動するのに用いたフェムト秒レーザの波長は800 nm、パルス幅は40 fs、パルスエネルギーは100 mJであった。その結果、鉄はレーザ照射後50 ps以内に1.8x10^9 /sの超高ひずみ速度で22 GPaに相当する応力で圧縮され、その後100 psの間に4x10^8 /sの超高ひずみ速度で圧力負荷方向に膨張しつつ体積としては圧縮されることを発見し、それが転位の核生成を誘起し高密度転位を形成することが示唆された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、フェムト秒レーザ駆動衝撃圧縮現象その場計測装置をX線自由電子レーザー施設SACLAに構築し、フェムト秒レーザパルスとX線自由電子レーザーパルスとの間の時間を少しずつ変化させながらXRDパターンを取得することによって、純鉄の圧縮初期過程の格子ひずみをその場計測することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、同じ装置を用いて、結晶粒径の異なる純鉄のフェムト秒レーザ駆動衝撃圧縮現象その場計測を行う。具体的には、強加工によって結晶粒径をナノメートルオーダーにしたバルクナノ鉄を用いる。この理由は、転位が動きにくい状態を初期状態とするためである。デバイリングを取得する面は、主すべり面である110面と、主すべり面から大きく外れた100面とする。これらの2面を用いる理由は、転位が動きやすい場合と動きにくい場合の情報を取得するためである。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度内に購入する予定であった材料の納品が遅れ、平成29年度に納品されることになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度内に購入する予定であった材料の納品が遅れ、平成29年度に納品されることになったため平成28年度の研究費に未使用額が生じたが、平成29年度に納入されるため、平成28年度に実施する予定の研究計画と併せて実施する。
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