研究課題/領域番号 |
16K14422
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
土山 聡宏 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40315106)
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研究分担者 |
赤間 大地 九州大学, 工学研究院, 特任助教 (80612118) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コア-シェル構造 / 軟質粒子 / ε-Cu / 炭化物 / in-situ析出 |
研究実績の概要 |
本研究では、金属材料の強化手段である析出強化の新たな指針として、性質の異なる複数の析出物をIn-situ(その場)析出させることによって析出粒子界面(あるいは界面層)の性質を制御した複合析出強化材を創製することを目標としている。それにより単に材料の強度が高いだけでなく、析出物起点のボイド発生が抑制された高延性材料の創製が可能になると期待される。本申請研究期間では、低合金鋼中に「高剛性の炭化物粒子を核として低剛性のε-Cu 相を被覆させたコア-シェル構造を有する複合析出物」を形成させ、高い引張強度と優れた絞り特性を両立させた新しい構造用鋼の製造を試みる。 本年度は、コア-シェル構造を有するVC-Cu 複合析出物を形成させる手法の確立を目的として、試料の合金設計ならびに熱処理条件について検討を行った。合金組成についてThermo-Calcを用いた熱力学計算を行い、VC炭化物とε-Cu粒子がいずれも1.4vol.%生成するFe-2%Cu-0.9%V-0.2%Cを供試材に選定した。本材料に対して、1200℃でのオーステナイト化処理後焼入れによりいったんマルテンサイト単一組織とし、その後600℃で焼き戻してVC炭化物を析出させた。次いで1000℃のγ+VC二相域で部分溶体化処理を行い、そのまま600℃のα+VC+Cu三相域まで徐冷して長時間保持する熱処理を施した。得られた試料についてTEM-EDSを用いてCuおよびVの分析を行った結果、VC炭化物周辺にCu濃化層が確認された。ただし多くのCuはSeparate析出しており基地中に微細に分散していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合金設計、熱処理条件の検討を行い、当初の目標であったVC炭化物-εCuの複合析出によるコア-シェル構造粒子が形成されることを確認できた点は大きな進展である。ただし、Cuシェル層の厚さが十分でない点、また多くのCu粒子がSeparate析出している点は改良すべきである。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、多くのCu粒子がSeparate析出していることから、目標の特性を得るにはCuのIn-situ析出を促進させ、コア-シェル構造粒子をより多く、なおかつCuシェル層を厚くする方策が必要である。そのため、以下の熱処理を試みる。 1.VCをオーステナイトに分散後、相変態点付近で温度を昇降して正変態と逆変態を繰り返す。 2.γ+VC二相域で熱間加工して再結晶させ、VC粒子の粗大化およびγ/VC界面の非整合化を図る。
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