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2016 年度 実施状況報告書

金属膜のプロチウム連続供給機能を活用した炭化水素化合物のコンビナトリアル合成

研究課題

研究課題/領域番号 16K14427
研究機関鈴鹿工業高等専門学校

研究代表者

南部 智憲  鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10270274)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード水素分離 / 触媒反応 / 還元反応 / 合成反応 / サバチエ反応 / メタネーション
研究実績の概要

(Ⅰ)水素透過その場合成反応で生成される化合物の同定と定量: 400℃において、Pd-25Ag合金膜を介して一次側にH2ガス、二次側にCO2ガスを供給し、Pd-25Ag合金膜を透過してきたプロチウムとCO2とを二次側膜表面で反応させる実験を実施した。ガスクロマトグラフを用いて二次側の排気ガス成分を分析した結果、CO2に加えて、H2、COおよびCH4を含有していることを確認した。しかしながら、その合成量は極微量であり、CH4よりも大きな分子量を有する炭化水素化物を精度よく捉えることはできなかった。
そこで試験セルを改良し、CO2ガスをフローさせるのではなく、0.2MPa充填したセル内にPd-25Ag合金膜を介してプロチウムを供給し、未反応のH2を再びPd-25Ag合金膜でセル外へ排出する実験方法を考案した。これにより、セル内で合成反応物質を濃縮することができる。ガスタイトシリンジでセル内のガスを抜き取ってガスクロマトグラフで分析した結果、反応時間の経過に従ってCH4、C2H4、C2H6と分子量の大きな炭化水素を合成するとともに、各分子の合成量も増大していることを確認した。

(Ⅱ)水素透過その場合成反応機構の解明と最適合成条件の確定: 研究項目(Ⅰ)と同じ条件下でCO2とH2ガスとを1:1でセル内に充填し、ニッケル膜で封じた場合、6時間経過後も炭化水素化物は何も合成していないことがわかった。すなわち、水素透過合金膜を介してプロチウムを連続供給することにより、CO2の還元および炭化水素化物の合成反応が進行していることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(Ⅰ)水素透過その場合成反応で生成される化合物の同定と定量: 水素透過反応によって合成される化合物の種類を同定することは完了した。しかしながら、化合物の濃度を定量するまでには至っていない。今後、ガス中の濃度を定量し、単位時間当たりの合成量から収率を算出する必要がある。

(Ⅱ)水素透過その場合成反応機構の解明と最適合成条件の確定: 水素透過合金膜が有するプロチウムの連続供給能が炭化水素の合成反応に寄与していることを証明することができた。しかしながら試験セルの変更に伴い、試験温度、供給するガス流量、圧力を変化させることによる最適合成反応条件を明らかにするには至っていない。今後、試験温度に焦点を絞り、最適合成反応条件を明らかにする。

今後の研究の推進方策

(Ⅰ)・(Ⅱ)合成成分の濃度の定量と反応条件の最適化: 試験温度に焦点を絞り、多量の炭化水素化物を合成できる最適反応条件を明らかにする。

(Ⅲ)水素透過その場合成反応に及ぼす合金膜組成の調査: 水素分離を目的としたPd系合金膜では、合金元素としてAg、Au、Cuなどが挙げられる。Agは水素透過速度を向上させ、Auは吸着物質による膜の耐被毒性を改善する。またCuはB2構造の化合物を形成して耐食性の高い合金膜を提供する。そこで、Pd-Ag系合金膜、Pd-Au系合金膜およびPd-Cu系合金膜を用いて水素透過その場合成実験を行う。純Pd膜での実験結果と比較し、合成された化合物の種類あるいは収率に及ぼすAg、AuおよびCuの添加効果を明らかにする。

(Ⅳ)特殊反応場の構造設計と実証試験: 収率を向上させるためには、プロチウムを供給する膜表面の面積を増大させる必要がある。そこで大表面積を有し、プロチウムの連続供給が可能な試験セルを作製し、収率向上を目指した実証試験を実施する。本実験では、ピンホールフリーの圧延膜と化学エッチングによってナノレベルのポーラス加工を施した合金触媒とを熱処理によって拡散接合させた複相膜を適用する。これにより、圧延膜からポーラス触媒へとプロチウムが拡散し、大表面席を有するポーラス触媒表面から多量のプロチウムを連続供給できる反応場を実現する。ポーラス触媒層の比表面積に対する収率の増減量を定量評価し、ポーラス触媒の効果を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

合成された混合ガスの同定に使用するガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)の導入に遅れが生じた。そのため、GC-MS周辺部品の購入を控えた。また、特許申請の可能性があり、学会等への発表を控えたために、旅費等を使用しなかった。次年度は積極的に発表する予定である。

次年度使用額の使用計画

GC-MSの導入が完了したため、周辺部品を購入して合成物質の定量を行い、収率を算出する。また、得られた成果を学会等で発表し、広く成果を公表する。

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公開日: 2021-01-27  

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