研究実績の概要 |
<平成29年度>は、改良構築したマイクロホットプレス装置に、高精度マイクロギア金型を設置し、単分散Fe系金属ガラス粒子を1粒充填して、粘性流動加工を行い、1個のマイクロギアの作製を試みた。作製したマイクロギアは、Fe系金属ガラス単相状態が維持され、素材としての機能性が保たれている事を明らかにし、本プロセスがFe系金属ガラス単相のマイクロギア製造プロセスとして極めて有効であることを示した。改良構築したマイクロホットプレス装置に高精度マイクロ金型を設置し、単分散Fe系金属ガラス粒子を1粒充填して、マイクロ粘性流動加工を行い、1個のマイクロギアの作製を試みた。過冷却液体温度で結晶化、潜伏時間以内に粘性流動加工できることを示した。XRD,TEMを用い、作製したマイクロギアの内部組織、構造を調査し、構造欠陥が無く、Fe系金属ガラス単相状態が維持されている事を確認した。また、ビーカース硬さ試験も実施し、素材の材料特性、機械的性質が保たれている事を明らかにした。鉄系金属ガラスの場合、熱的安定性が悪いため、300秒程度の比較的短時間で粘性流動加工する必要がある。その場合、粘性流動支配でなく弾性成分の影響を検討することが重要となる。そこで、応力緩和挙動を評価し、また、有限要素法による粘弾性応力解析を行った。同じ加工時間であっても保持時間が短いと最大荷重は下がり、残留応力も減少する事が分かった。一方、金型への充填率は、保持時間が短いと悪くなる傾向が見られた。しかし、速く負荷し、保持時間が長いと残留応力が大きくなり、スプリングバックの影響が大きくなると考えられる。スプリングバックが大きくなると、形状寸法誤差が発生し、離型時に、金型との摩擦が発生する懸念がある。従って、できるだけゆっくり加工し、保持時間を短くする方が有利であることが考察された。
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