研究課題/領域番号 |
16K14433
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉川 昇 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (70166924)
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研究分担者 |
Komarov Sergey 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20252257) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロ波 / 金属薄膜 / ラピッドアニール / 平坦性 / 結晶粒成長 / 表面拡散 |
研究実績の概要 |
数10-数100ナノメータ厚さを有するAu薄膜を、マイクロ波吸収が無視できる石英(SiO2)基板に室温でイオンスパッタ蒸着(現有装置を用いる)させ試料として5.8GHzシングルモードアプリケータ、(現有装置)によりポストアニールを行なった。現存の電磁石の磁場分布を利用して、1cm x1cm程度の基板を磁場最大位置に設置し、実験を行なった。AFM(原子力間顕微鏡)により得られた薄膜の組織観察や、膜表面の平坦性についてテジシタルデータを得て、これをフーリエ解析し、凹凸の周期(波数)の変化について解析を行なった。この結果、マイクロ波加熱と電気炉加熱を比較した場合、前者の方が高波数域での平坦化が促進していると共に、低波数域では,結晶粒成長が促進するため、ミクロンスケールの凹凸が形成され易くなる事が分かった。これは、見かけ上表面拡散係数が増加した事に相当するが、これに関する Mullins-Herringモデルに依る表面形状シミュレーションの結果、表面拡散係数との関係を調べ、得られた実験結果を説明する事ができる事が判明した。また外部から静磁場を印加し、マイクロ波加熱処理を行なうことにより、結晶粒成長を抑制する事で、平坦性が向上する傾向がある事が分かった。さらに、静磁場を印加することにより、結晶粒の平坦化が起こることがわかった。これはマイクロ波印加により生じた誘導電流と、外部印加磁場との間でローレンツ力が発生し、これが微細組織形成に対し影響しているためであると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、前述の知見が得られており、内容的には順調であると言える。しかしながら温度検出装置の故障のため、実験が遅れ1年の延長を余儀なくされている。H31年度(R元年度)も継続研究を行うこととなっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの実験手法を継続するとともに、データ取得に専念し研究のまとめに入りたいと思っている。また、マイクロ波照射による見かけ上の表面拡散係数増大について、シミュレーション法などを援用し、その理由を解明していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験において、温度測定計器に故障が生じ、研究が遅れた。新規な計器により、実験の継続が可能となり、次年度の使用額を必要とする。
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