硬質薄膜材料の代表であるTiN薄膜に、第三元素としてSiを添加したTi-Si-N薄膜は、TiN結晶内へのSi固溶が明らかではない。パルスレーザー堆積法でMgO基板上にエピ成長させた薄膜を作製し、次の知見を得た。Siの添加量を調整した結果、SR=0-15%のTi-Si-N薄膜がエピ成長していた。SiはTiN結晶内に固溶つまりSiが6配位状態で存在していることが示唆された。硬度は最大で56.9GPaであった。XPSでは、Si-N結合起因の102 eVのピークが得られ、これまでa-SiNXだと思われていたピークと同じ位置であり、固溶状態においても同様のピークを示すということになる。
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