省エネパワーデバイス用の材料である4H-SiCの低温高速成長法の確立に向け、Cr-Si合金を用いたSiCの溶液成長挙動に及ぼす炭素過飽和度の影響を評価した。まず、過飽和度の評価のため、結晶育成に供する溶融Cr-Si合金中の炭素溶解度を実測し、2000℃までの温度依存性を得た。次いで、組成の異なるCr-Si溶媒を用いたSiCの溶液成長を1700℃で実施した。高Si濃度の溶媒では3C-SiCの二次元核発生により4H-SiCの沿面成長が阻害された。一方、低過飽和度の高Cr濃度の溶媒では、1mm/h以上の高速成長下でも4H-SiCの沿面成長が維持され、同溶媒が低温高速成長に有効であることが示された。
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